仲介手数料に消費税はかかる?また仲介手数料を安くする方法は?

  • 記事公開日:2021/03/17
  • 最終更新日:2021/04/05
仲介手数料に消費税はかかる?また仲介手数料を安くする方法は?

消費税と不動産売買は、密接な関係にあります。それでなくても不動産は高い買い物ですから、税金の額もかなりの金額に上ります。不動産売買にかかる消費税について考えたことはありますか?そしてもし近々消費税が上がると知ったら、あなたはどう行動しますか?もしかすると慌てて不動産購入に走りたくなるかもしれません。しかし、その行動は果たして正しいのでしょうか?ここでは税と不動産の関係について、詳しく見ていくことにしましょう。

 

消費税が発生する不動産取引

不動産を取引する際には個人間で取引をしない限り、不動産仲介会社が仲介をして取引を成立させることになります。不動産仲介会社は日本国内で事業を行う課税事業者にあたるので、その仲介手数料に対しても消費税が課税されることになります。またその他不動産取引には課税される対象が仲介手数料を含めて5つの要件があります。

仲介手数料

不動産取引において大きな割合を占める仲介手数料ですが、売却価格が400万円以上の場合には、「売却価格×3%+6万円」が上限として定められています。そのため不動産そのものの価格が上がれば仲介手数料も消費税も高額になります。

建物の購入と建物の建築工事

不動産の売買において土地は消費税が非課税になりますが、建物は消費税の対象となります。一般的に建物を購入する際に土地と一緒に購入することになると思いますが、住宅購入時には建物部分は課税対象となります。

注文住宅など、建物を建築する際にも建物に対して課税対象となります。

投資用不動産の売却

先に述べたように個人が自宅を売却する際には、その個人は日本国内で事業を営む事業者でないために消費税はかかりません。ただしその不動産を賃貸物件として貸し出している場合は事業に該当することになり、課税されることになります。

売却時に消費税を含めた価格で買主に請求し、売主は消費税を税務署に納める必要があります。

司法書士、土地家屋調査士への報酬料

司法書士は不動産に設定されている登記の抹消手続き、そして新しい所有者への移転登記を行います。また、土地家屋調査士は測量などを行い不動産の状況を正確に登記記録に反映することを目的とし、所有者の財産を明確にするためのサービスです。

これら二つのサービスも日本国内の課税事業者が行う事業のため消費税の課税対象となります。

住宅ローン事務手数料、融資手数料

住宅ローン事務手数料や融資手数料といった銀行のサービスに対する手数料にも課税されることになりますが、こちらは銀行によって内容が違います。

例えば、事務手数料は10万円前後の定額制や、借入額の2%を手数料とするといった定率制を選択している銀行があります。また利用者の選択により金利上乗せや住宅ローンに含めるケースもあります。

 

非課税になる取引

不動産取引において消費税がかからない取引もあります。ここでは非課税になる取引について解説いたします。

土地の購入と売却

消費税は消費される物やサービスに対して課税される税金になります。国税庁によると土地は消費するものではないという扱いになります。そのため土地の購入や売却をしても消費税は課税されません。

個人の居住用物件の売却

個人の居住用物件の売却は、対価を目的として繰り返し行われる取引に該当しないため消費税の課税対象とはなりません。ただし売却を仲介不動産会社に依頼した場合には、その仲介手数料は課税事業者のサービスにあたるため仲介手数料そのものに消費税が課税されます。

住宅ローンの利息・保証料

利子や住宅ローン保証料は、消費税法第6条で定められた「国内で行われる資産譲渡などで利子を対価とした貸付金、その他の政令で定める資産の貸付け、信用の保証としての役務の提供 」にあたり、消費税を課さないと規定されています。

火災保険料・団体信用生命保険料

消費される物やサービスに課税される消費税ですが、中には社会政策的な配慮や課税の対象としてなじまないものは非課税取引として定められています。

国が定める非課税取引15項目の中に利子、保証料、保険料などは非課税だと明記されており、火災保険料や団体信用生命保険には消費税はかかりません。

 

仲介手数料に消費税がかかる理由

消費税の課税対象は「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付、役務の提供と輸入取引」が対象となります。仲介不動産会社は宅建業法に基づいて行う仲介業務のため役務の対価として仲介手数料を請求します。そのため不動産仲介業務は消費税課税対象業務とされ、請求された対価としての仲介手数料には消費税がかかることになります。

 消費税はどのくらいかかるのか

仲介手数料は取引額が400万円以上の場合に、上限を物件の価格に対し3%+6万円と定められており、ほとんどの仲介不動産業者は上限の対価を請求してきます。

物件の価格が3000万円だった場合には、〔3000万円×3%+6万円〕=【96万円】になり、この96万円に対して消費税が課税されることになります。
そのため〔96万円×10%〕=【9万6千円】が課税されます。

 

仲介手数料を安くする方法

不動産取引時において支払いの中で大きな割合を占める仲介手数料ですが、割引や相談の余地があるケースも存在します。ここではその方法や交渉のポイントを紹介します。

仲介手数料を安くする方法

仲介手数料無料や半額などの不動産会社を選択することで交渉しなくても仲介手数料を安く、または無料で不動産取引を行うことができます。

また、自社管理物件などを保有する不動産会社などでは仲介手数料を割引いてくれたりもします。不動産広告に記載されている「売主」という取引形態の場合は自社で販売を行っているということになりますので交渉の余地がある場合があります。ただしどちらの場合も交渉のポイントとしては契約が前提です。
この物件はA社で仲介手数料を無料にしてくれたから、B社でも無料にできるということにはなりません。

仲介手数料以外の初期費用を抑える方法

賃貸物件を借りる場合には仲介手数料以外に敷金礼金といった東日本独自の慣習的な費用が発生します。敷金は原則返金される場合と退去時のクリーニング等に充当されたりしますが、礼金は大家さんや不動産業者に対するお礼とされており返却はされません。そのためこの礼金については交渉の余地があります。

交渉しやすいポイントとしては、不動産のオフシーズン(一般的に6月~9月)に契約をする。「駅から遠い」とか「築年数が古い」などの敬遠されがちな物件や、長い間入居者がいない物件を選ぶことなどが、ポイントとしてあげられます。ただし、「礼金の値引きをしてくれたら契約を考えますよ」と物件が気に入っていることも担当者に伝えておくことも重要です。

そのほか、敷金礼金のない物件やそのような物件を取り扱う不動産業者を探すことで初期費用はかなり抑えられますし、最近では敷金礼金をクレジットカードで分割決済をしてくれる不動産業者もあります。初期費用として現金の支払いを抑えたい、という方にそのような業者を探すことも一つの方法かと思います。

購入する時期を見極めるべき

このように不動産売買と消費税は密接な関係にあり、その影響力は看過できません。もし欲しい不動産があり、税金が近々上がることが分かっている場合は、誰もが「今のうちに購入しておかなければ」と考えるはずです。しかし、この行動が正しいとは言い切れません。

確かに値上がりする前の価格で購入することができるので、価格的にはお得だと言えます。また、仲介手数料にも税金がかかるので、その分も節約できることになります。しかし、皆が今のうちにと一気に不動産を購入することで、その後反動が訪れます。不動産が売れ残り、余剰物件を多数抱えた不動産屋は物件価格を大幅に引き下げて販売し始めるのです。

不動産はたとえ新築であっても住む人がいなければ、どんどん劣化が進んでしまいます。また、売れ残り物件が多数あれば、当然それなりの維持費もかかってきます。そこで不動産屋は投げ売りしてでも物件をさばいてしまおうと考えるのです。

その値引き率と。消費税アップによる金額のどちらがお得になるでしょうか。例えば3000万円の物件の場合、消費税10パーセントなら300万円です。しかし、業者が物件価格を10パーセント値引きすれば、価格は2700万円となり、税金は10パーセントの場合でも270万円で済むのです。3240万円の物件が2920万円で購入出来てしまうという訳です。また、余剰不動産を抱えた不動産屋が仲介手数料を値引いてくれる可能性もあります。

このように消費税値上がりの前に駆け込み購入する必要はないことが、これでお分かりいただけるかと思います。購入時期を見極める目が、私たちに求められていると言えるのではないでしょうか。

まとめ

ここまで解説したとおり、仲介手数料にも消費税はかかります。なぜかかるのか?ということについても解説いたしました。仲介手数料は高額なのでその消費税の額も大きな費用負担となります。その他初期費用もあるので抑えられる部分はしっかりと抑え、新しい生活を始めるための準備をしっかりと行ってください。