物件を購入する際に気をつけるべき3つのポイント

  • 記事公開日:2017/11/16
  • 最終更新日:2020/01/30

不動産の物件を購入する際には、さまざまに注意すべきポイントがあります。不動産取引は極めて重要な契約です。それは自己責任がついて回ります。よりよい買い物をするためには、物件の瑕疵担保責任や、その範囲を認識し得おくことも大切です。そして何より、不動産売買にかかわる書類や領収書は後々も役立つ大切なものです。しっかりと把握しておきましょう!

売買契約は自由にできるが、取り消しは簡単にできない

不動産の売買契約は、物件にかかわる重要事項の説明を受け、売主と買主の双方が契約条件について合意したら、売買契約を締結します。このように契約自体は極めて簡単な事務作業にすぎません。契約は、法令に違反、または公序良俗に反するなどの問題がない限りは自由に取り結ぶことができます。しかし、いったん契約を締結すると、簡単には解除することはできません。

不動産売買は、大きな金額が動く取引です。不動産の契約は売主と買主の信頼関係の上に成り立っています。この契約をいったん締結すると、片方の都合では簡単に契約解除をすることはできないものです。契約の解除には、売主が宅地建物取引業者の資格を有した不動産会社で、かつ一定の条件を満たす場合に限り、無条件で契約を解除することができる「クーリングオフによる解除」、相手方が契約の履行に着手するまでは、手付金の放棄、または倍返しにより契約を解除することができる「手付解除」、天災による物件の滅失等により、契約の目的が達せられない場合などは、買い主は無条件で契約を解除することができる「危険負担による解除」、物件に重大な瑕疵があった場合に、その瑕疵により契約の目的が達せられない場合は、買い主は無条件で契約を解除することができる「瑕疵担保責任に基づく解除」、特約の内容に応じて解除することができるものがあります。例えば、「ローン特約」の場合なら、買い主に落ち度がなくても住宅ローンを受けられなかった場合に、買い主は無条件で契約を解除することができる「特約による解除(ローン特約など)」、当事者の合意に基づく条件で契約を解除することができる「合意による解除」などがあります。

これらは、個々の契約で契約に関する取り扱いは異なり、それぞれの条件を明確にすることにより解除に至ることができます。このように、いったん契約を締結すると、簡単に解除することはできません。事前に契約内容を十分に確認することが重要です。

瑕疵担保責任がどれくらいの期間適用されるか確認しておく

瑕疵担保責任というのは、売買などの有償契約で、契約する当事者の買主が給付義務者の売主から目的物の引渡しを受けた場合に、その給付された目的物について権利関係、または目的物そのものに瑕疵があるときには損害賠償などの責任を負うことで、これを担保責任といます。このうち目的物そのものに隠れた瑕疵があった場合の責任を瑕疵担保責任といいます。例えば物件である建物の白アリ被害、または雨漏りなどのような欠陥を「瑕疵」といいます。そのうち、買主が知り得なかった「瑕疵」を法的には「隠れた瑕疵」ということですが、隠れた瑕疵が判明した場合、買主は、売主へ物件の修補や損害の賠償を求めることができます。また、重大な欠陥があり、住むこともできない状態である場合などは、契約の解除を求めることもできます。

売買契約では、売主が瑕疵担保責任を負う場合には物件の引き渡しからどのくらいの期間、責任を負うのかなどが取り決められます。物件の隠れた瑕疵をめぐるトラブルはじつは非常に多く、売主は物件の瑕疵について誠実に情報提供をし、買主は物件を十分に確認して契約前に瑕疵を明らかにすることが重要です。売主が不動産会社(宅地建物取引業者)である場合には2年以上瑕疵担保責任を負うことが義務づけられています。

また、新築住宅の場合には、売主である不動産会社は、住宅の基礎、柱、屋根、外壁等の主要構造部分等について10年間の瑕疵担保責任を負うことになっています。また売主が倒産するなどの事態に陥り、瑕疵担保責任を履行できないというような状況を避けるため、買主に引き渡す際に、売主には保険への加入か保証金の供託が義務づけられています。売買契約に、瑕疵担保責任の定めがない場合は、民法の規定に基づきますが、民法では売主の瑕疵担保責任の期間が限定されないことから、一般的に売主が瑕疵担保責任を負う期間を売買契約で、明確化します。期間の定めがない場合には、売主が瑕疵担保責任を負うのは、買主が隠れた瑕疵を知ってから1年以内と定められています。

書類や領収書は必ず保管しておく

不動産の売買取引をするとさまざまな書類や領収書が発生します。売買契約書からはじまり付随する領収書、登記識別情報、また不動産業者と交わした文書の類まで、これらはすべて、保管しておくのが原則です。不動産を購入すると当然所得税を納めなければなりません。これらの書類は確定進行するにあたって必要となる書類です。またいつ何時、この購入した不動産を手放さなく手はならない事態になるとも限りません。これらの書類がいざという時にないと、またさまざまに面倒な手続きをしなければならないことになり、余計な費用も費やす羽目となります。もちろん住宅ローンの契約書や領収書も重要です。

いざ不動産を売却しようとする時、一番困るのは、購入した時の契約書類が見つからないということです。売却による税金は売却代金から取得費を差し引いた利益が対象となります。不動産を取得したときの取得費は実際に支払った額が原則ですが、それが不明であった場合や、少額の場合は収入金額の5%となります。取得金額を証明する書類を紛失すると取得費を収入金額の5%で計算しなければならなくなり、実際の購入価格がそれ以上である場合には非常に不利となります。また、その後の増改築等の費用も含め取得費は積み上げれば、さらに税金は安くなります。所有期間が5年超の不動産の譲渡税の税率は20.315%、10年超保有している住宅の特例による税率は14.21%です。

領収証の1枚であっても、しっかり保管しておけば税金は14.21%から20.315%の割引になるわけです。これらの書類は、まとめて保管することが望ましいでしょう。特に通常の生活には関係ないものですので、散逸すると、なかなか見つからなくなるのが、このような重要書類です。印鑑証明、印鑑などとともに、外部の人からは見つからないそれなりの場所で保管するのがいいのではないでしょうか。現在は書類保管サービスなどの業者もあるので、家の中では心配という方はそのようなサービスを利用するのも一つの方法ではあります。

まとめ

物件を購入する時に気をつけるべきポイントが3つあります。第一に契約の問題です。契約は自由にすることができますが、解除するには、様々なペナルティが発生する場合があります。また瑕疵担保責任も把握しておく必要があります。事前にしっかり物件をチェックし瑕疵を確認し報告しておくことも重要です。さらに物件の将来の売却などのこと考えると取引にかかわる書類、領収書などはたいへん重要です。しっかりと保管しておきましょう。