不動産売買でなぜ売主と買主の両方に仲介手数料をとるのか

  • 記事公開日:2017/07/28
  • 最終更新日:2020/08/05

仲介手数料というのは物件価格や土地代金によって異なり、特殊な算出方法があります。不動産売買ではその算出した金額を上限と設定し、売主や買主に請求しているのです。請求方法や仲介手数料の仕組みを知っておくことで、損をせずに物件を売買できるのではないでしょうか。

不動産売買を成功させるコツは、これらを熟知した上で、自分がどの立場にあるのかを理解することから始まるといっても過言ではありません。売主であれば基本的に手数料は発生しますが、取引形態によっては割引されることもありますので、メリットを得られるのは買主だけではないのです。

仲介手数料の仕組みについて理解しよう

取引の際に当たり前のように支払いをしている仲介手数料。この手数料はどのような仕組みになっているのでしょうか。まず、仲介手数料というのは、不動産売買を行った時に不動産が仲介をした際に得られる報酬のことです。上限が設定されており最大で物件や土地代金の3%に6万円、そして消費税を合わせた金額を不動産は顧客に請求することができ、この上限を超えて請求することは違法な行為となり、社会的に信頼を失うだけではなく、その企業は営業停止となってしまうのです。

そして、取引形態にもいくつか種類があります。直接取引という企業を仲介役とせず買主とやり取りする方法に関しては、手数料が発生することはありません。ただし、代理や仲介という形式の場合、売主はほぼ支払うことになります。買主に関しては不動産によって手数料の有無が異なるので、確認が必要です。

そしてこの取引形態の場合、仲介業者が1社のみ、または複数介するケースが存在します。業者が1社の場合は、売主と買主の両方へ手数料を紹介することができます。両方から報酬がもらえるので、不動産としては一番利益を得られる方法で一般的に両手と呼ばれています。そして2社以上、複数の企業が介することを片手といいます。この方法はどちらか一方への請求となりますので、両手に比べると利益が半減します。これが仲介手数料と呼ばれる費用の仕組みです。不動産売買に携わる際には、知っておいて損はありませんし、なにより売主、買主の立場によっても異なるのでうまく立ち回ればお得に取引ができるのです。取引を検討している場合には、取引形態がどのようになっているのかを確認することで、企業にどのくらいの利益があるのかを知ることができます。

不動産売買における売主と買主の立場

不動産売買の仲介役である不動産企業は売主と買主、企業としてはどちらに重きを置いているのでしょうか。一般的には中立の立場でないといけないと言われていますが、ケースによってはやや偏ってしまうこともあるようです。例えば売主は早く、高く売りたいと思っていることでしょう。しかし買主はできる限り安く、吟味した上で物件購入したいと思っているはずです。仲介手数料は契約が結ばれないと得られませんので、いち早く利益がほしいと考えている不動産企業であれば、売主側に付くでしょう。また何度か取引をしている売主であれば、お得意様とみなされて有利な取引をしてくれることもあるようです。しかし企業の中には、全く逆の買主側に付くケースもあるようです。当然のことながら、契約が結ばれなければ手数料が入ってくることもありません。

また長期に渡り物件を売却できなければ、企業側にも大きなマイナスとなります。ここで渋ってしまっては今後取引ができないと判断された場合、売り手ではなく買い手の味方になるとのことです。他にも客付け営業という方法があります。この営業方法は依頼を受けた不動産が、別の企業を仲介して買い手を捜してもらうことを指します。この営業方法を使うことで、売り手からの仲介手数料と仲介業者からの手数料をもらうことができるので、企業としてはとても良い方法になります。不動産や顧客の状況によって立場が異なりますので、不動産売買時にその旨を把握するとよいでしょう。

すべての企業がどちらかに付くということではなく、中には双方が平等になるように仲介してくれる不動産企業もありますのでご安心ください。その場合、できる限り両手営業ではなく、片手営業をしてくれるところを選択しましょう。

不動産会社選びで仲介手数料も変わる

仲介手数料の算出方法は、400万円以上であれば物件費用の3%、そして6万円を合わせたものが上限です。400万円以下の場合は4%プラス2万円、200万円以下であれば5%となります。この上限内であれば不動産売買の際に、自由に請求できます。そのため、不動産企業によって手数料が異なったり、交渉次第で割引になったりするということなのです。何度も取引をしていて、すでに信頼関係のある企業であれば問題はありませんが、一見さんには高く見積もるという企業もいるので、注意が必要です。

また、売主と買主どちらにも手数料が発生する場合はどのように請求されるのでしょうか?例えば物件価格が1000万円の場合、手数料は約40万円程度発生します。売り手と買い手、どちらにも40万円を請求したいところですがそれは厳禁です。双方合わせての上限額となりますので売り手30万円、買い手5万円といった具合になれば問題ありません。この比率や設定額は企業によって異なりますので、複数の企業へ問い合わせを行い手数料の相場を調べることが、賢い手立てだと言えます。

売主側は物件取引をするにあたって、これらの手数料を支払うことがほとんどですが、できる限りカットしたいのであれば仲介を入れない直接取引をお勧めいたします。買主に限っては不動産を吟味した上で、不動産売買に臨んでいただければとおもいます。ただし、必ずしも仲介手数料を無料にすることが良いわけではありません。物件を提供する不動産のモチベーションが下がることで、物件が売れない、手続きをやってくれないこともあるといわれています。考え無しに手数料をカットすることで、買主どちらにもデメリットがある可能性があります。リスクを背負わないためにも企業の吟味が必要です。

まとめ

売主であれば、ほとんどの場合仲介手数料を支払う必要があり、買主の場合は不動産企業によって異なる。不動産売買で発生する手数料は算出方法が決まっており、それに則った金額を請求できる。仕組みがわかると簡単ですが、この情報を知っているのと否では大きく変わります。自身が買主、または売主となった場合にどう立ち回ればお得に不動産売買ができるのかを、見極めていただければとおもいます。

また、ケースによっては仲介手数料をカットすると、デメリットが多くなることもありますのでご注意ください。