仲介手数料の計算に6万円が追加されているわけ

  • 記事公開日:2017/11/16
  • 最終更新日:2020/01/30

仲介手数料の金額計算や意味について、説明できますか?今回は、不動産会社に騙されないためにも知っておきたい仲介手数料の知識をお伝えします。「不動産売買に於いて基本的には上限金額以上の費用は発生しない」、「物件の価格の3%+6万円+消費税」の6万円の正体、などを説明します。不動産売買のトラブルを未然に防ぐためにも是非ご一読下さい。

仲介手数料の上限額についておさらい

不動産取引に必ずついてくる仲介手数料は、一般的にその金額は「3%+6万円」と言われていますが、最近では「半額」や「無料」などの不動産会社も多く見られます。この根拠について説明していきます。まず初めに、「3%+6万円」は仲介手数料の上限額ということを頭に入れておきましょう。ただし、これは上限をはじき出す速算式で、正しくはこれからお話しする内容がその根拠となります。

仲介手数料の上限額は、昭和45年(その後に改定有り)に当時の建設省(現在の国土交通省)からの告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」により定められています。上限額は、宅地建物取引業法により「国土交通大臣の定めるところによる」とされ、その詳細は「告示」で定められるとしています。具体的な内容としては、告示の「第二売買又は交換の媒介に関する報酬の額」のなかで消費税計算を外してわかりやすくすると、物件の金額の200万円以下の部分には5%、200万1円~400万円の部分には4%、400万1円以上の部分には3%となり、各部分の合計+消費税が仲介手数料の上限となります。

この価格帯については、昭和45年頃の生活水準から導き出されたのではないかと推測されています。一般世帯が200万円以下、中流世帯が400万円以下、上流世帯がそれ以上となります。現在の感覚からは、金額・料率とも考慮の余地があるのではとおもえてきますが、まずは上限額の根拠を知っておいて下さい。そして、通常の売買活動はこの金額が上限になります。基本的には自分から不動産会社に対して追加の売買活動等を要求しなければ、追加の費用は発生しませんので覚えていて下さい。ただし、自分から追加の販促活動などを要求した場合はこの範囲でないこともあります。

なぜ「6万円」が追加されているのか

一般的に、仲介手数料の計算は「物件の価格の3%+6万円+消費税」と説明されています。「でも、物件の3%と消費税は解るけど6万円って何?」と思われる方も多いのではないでしょうか。この項では6万円の意味についてご説明していきます。

前項で仲介手数料の上限の算出方法とその根拠をお伝えしました。例えば、1000万円の物件で計算をすると、200万円×5%=10万円(A)
200万を超え400万円以内の部分×4%=8万円(B)
400万円を超え1000万円以内の部分は×3%をして18万円となり10万円+8万円+18万円=36万円で仲介手数料は36万円+消費税となります。

ただし、現在の不動産物件の取引の中で400万円以下の物件は少数ですし、この計算は面倒です。そこで生まれたのが、「物件の価格の3%+6万円+消費税」の速算式です。400万円を超える物件の場合、400万円までの部分、上記(A)と(B)は、いつも変わらず(A)+(B)=18万円(C)です3%で計算すると、400万円×3%=12万円(D)になり、これも変わりません。この(D)を本来の計算式の金額(C)から引くと18万円(C)-12万円(D)=6万円で、差額は6万円になります。

この60,000円が「物件の価格の3%+6万円+消費税」の正体です。

仲介手数料の計算を実際にやってみよう

ここでは、実際に仲介手数料の計算をしてみましょう。正しい計算と速算式「物件の価格の3%+6万円+消費税」を比べてみます。まずは、300万円の物件の仲介手数料を計算してみましょう。200万円までの部分は、200万円×5%=10万円(A)
200万円を超える部分は、100万円×4%=4万円(B)
となり、仲介手数料は、10万円(A)+4万円(B)=14万円(C)(+消費税)となります。

これを「物件の価格の3%+6万円(+消費税)」で計算すると、300万円円×3%+6万円=9万円+6万円=15万円(D)(+消費税)となり、14万円(C)(+消費税)と違います。

これは、速算式が400万円以上に限られることを示しています。因みに、400万円の物件の仲介手数料の場合は200万円×5%+200万円×4%=10万円+8万円=18万円(+消費税)速算式だと400万円×3%+6万円=12万円+6万円=18万円(+消費税)となり同じになります。

続いて、4500万円の物件の仲介手数料を計算してみましょう。
200万円までの部分は、200万×5%=10万円(A)
200万を超える部分には、200万円×4%=8万円(B)
400万円を超える部分には、(4500万円-400万円)×3%=123万円(D)
10万円(A)+8万円(B)+123万円(D)=141万円(E)(+消費税)

速算式だと4500万円×3%+6万円=135万円+6万円=141万円(+消費税)となり、同じです。400万円以上の物件の場合には、速算式を使うようにすると良いでしょう。

まとめ

ここでは、仲介手数料の上限額、その根拠や計算方法、また便利な速算式などについてお伝えしてきました。上限額については、自分から追加の販促活動などを要求しなければ、基本的にはこの金額を超えないこと、追加の費用は発生しないことを頭に入れておいて下さい。信頼できる不動産会社も数多くあることも事実ですが、悪質な不動産会社があることも事実です。意味や計算式などの知識を持つこと、その上限額根拠や計算式を知っておくことでトラブルを防ぐことに繋がります。