両手仲介って何?

  • 記事公開日:2017/09/20
  • 最終更新日:2020/01/30

物件を売買する際、不動産会社は、物件の売主や買主との間を仲介する手続きを行ってくれます。個人で物件を売買するのは、万が一トラブルを招く可能性もあるため、宅地建物取引業の資格を持つ不動産会社に専門的な手続きを依頼するのがよいでしょう。物件を売ることにより、不動産会社は仲介手数料を得ることができます。ここでは、事前に知っておきたい仲介手数料の仕組みや、両手仲介のメリットやデメリットについてお話しします。

仲介手数料の仕組み

不動産会社を媒介した物件取引では、仲介手数料が発生します。この手数料は、不動産会社へ支払う成功報酬のようなもので、不動産会社の大きな収入源です。手数料の仕組みをご説明する前に、まず宅地建物取引業で不動産会社が受け取れる上限額が決まっていることを知っておきましょう。宅地建物取引業は国土交通省が定めている法律で、上限額ぎりぎりを請求してよいという決まりではなく、上限額を超えての請求は違法であると示しています。また、仲介手数料を支払うのは、成約時です。途中で契約が無効になった場合など、成約前に請求されることはないため注意しましょう。

手数料は、物件の価格が大きいほど高くなります。物件の価格がたとえば400万円以上の場合だと、価格の3パーセントに6万円を足した料金が不動産会社の報酬額になります。価格によってかかる倍率が異なるため、もし400万円以下の物件価格の場合は4パーセントにプラス2万円になることも覚えておきましょう。売買物件は税込価格であることを知っておくとよいでしょう。不動産への課税は、売買物件が土地か建物のどちらであるか、売主が事業者か個人かによって異なります。媒介契約の成功報酬として不動産会社は成約時と引き渡し時に2回に分けて、手数料を受け取るケースが多いようです。

不動産会社は、上限額を設定しているところが多いです。手数料無料といったところもありますが、その場合は売主から多めに手数料を得る契約である場合でしょう。また、インターネットで営業活動の人件費を削減しているなどの工夫をしている不動産会社もあります。不動産会社の収入は、主に売買物件の広告費に使われます。また、そのほかの登記の確認や決済での専門的な事務手続き、見学会の人件費にも充てられます。契約までには費用が掛かるのです。ですので、信頼できる営業マンを見つけて、売買契約を検討することが大切になってきます。

両手仲介とは

不動産売買の仲介には、片手仲介と両手仲介があります。片手は、不動産会社が売主か買主どちらかの仲介手数料を得ることをいいます。両手は、1つの不動産会社だけで売主と買主を媒介する取引のことです。買主と売主の両方から手数料が見込める特徴があります。2倍の手数料を見込めるため、広告費の予算を多めに使えるというメリットがあります。

また、不動産売却に慣れていない売主の場合、売却の機会を逃してしまい、売れ残るリスクも考えられます。不動産会社が物件を探している顧客とマッチングを行うことによって、売主が早期に売却できるというメリットもあるのです。他には、どうしても早期に売却したい事情がある売主にとっては、不動産会社の両手はメリットがあると考えられます。例えば、用途が限られている物件などの場合、いつまでも売れ残るよりは両手で売却できた方が有利だからです。反対に、デメリットも存在します。希望価格で売却したいと考えている売主にとっては、不動産会社の情報の範囲で買主が決まってしまうリスクがあります。不動産会社の提案を受けて、売買しても構わない場合を除いては、両手は売主にとってデメリットである可能性が高いといえるでしょう。

また、両手の難点に、買主と売主のどちらかの立場にメリットがある取引になってしまう点があります。どちらからも仲介手数料を取るのですから、営業マンの手腕次第で売主と買主のどちらかが損をしてしまうのです。売主との売買契約の内容に関わらず、契約に反した「情報の囲い込み」などの不正を行って不動産会社が利益を上げようとしているケースもあります。不動産会社のノルマのために都合よく成約しようとしている場合もあるため、不動産の媒介は、信頼できる営業マンに依頼するべきでしょう。

未公開物件と両手仲介の関係

未公開物件とは、不動産会社が一般公開していない物件情報のことです。物件を一般公開するためには、不動産会社は国土交通省公認のコンピューターシステムに登録することになっています。これらの登録物件情報は、宅地建物取引業の免許を持つ不動産会社の情報交換用のインターネットシステムで閲覧することができます。価格・面積・住所・間取り・取引形態などの決められた項目を登録することにより、より多くの不動産会社や物件を探している人が登録情報をチェックすることができます。

もし登録していない未公開物件があれば、他の不動産会社や買い手は閲覧することができないため、未公開物件の買主は限られることになります。売主からの依頼物件を登録しているかどうかは、売主との取引形態によって異なっています。取引形態には、一般媒介契約・専属専任媒介契約・専任媒介契約があります。一般公開の登録義務について説明すると、一般媒介契約では物件の登録義務がありません。専属専任媒介契約・専任媒介契約では、物件の登録義務があり、さらに不動産会社は売主に販売状況を知らせることになっています。不動産会社が両手仲介をしている場合、意図的に登録をしていない可能性が考えられます。

登録している場合でも、登録情報の不足や、商談中といった理由をつけて、不動産会社が両手になるように売却のチャンスを操作している可能もあります。「情報の囲い込み」を行い、不動産会社の都合で売買の時期や買主を決めているといえるでしょう。売主は幅広い買い手に情報公開できないだけではなく、希望価格で売買できないリスクがあります。希望価格で売却したいなら、両手の多い不動産会社には依頼しないほうがよいでしょう。

まとめ

このように、両手仲介は不動産会社の得る成功報酬が多くなることがわかります。また、一部の売主や買主にとっては、メリットになることもあるようです。情報の囲い込みといった、場合によっては違反行為を侵しても両手を行う不動産会社が存在するため、注意が必要です。両手により、不動産会社、売主・買主が同様にメリットを得ることは難しいのです。まずは安心して任せられる営業担当者を見つけ、信頼関係を築くことが大切だといえるでしょう。