中古一戸建てを購入する際の注意点とは?メリットやデメリットについても解説!

  • 記事公開日:2018/12/31
  • 最終更新日:2022/10/31

日本はこれまで、欧米に比べて中古一戸建ての取引が活発ではありませんでしたが、「空き家問題」の深刻化などを背景に、日本政府は中古住宅の市場活性化へ向けた対策を進めています。

中古一戸建ては新築一戸建てに比べて低い価格で購入できますが、耐震性や隠れた不具合など心配な面もあります。

この記事ではまず、中古一戸建てを購入するメリット・デメリットを挙げ、中古一戸建てを購入する際の注意点を詳しくご説明します。

新築一戸建てにこだわらない人が増えている

日本ではいわゆる「新築信仰」が根強く、新築一戸建てにこだわる方が圧倒的多数でした。
中古一戸建てが敬遠されがちだった原因として、中古住宅の品質に関する情報開示が十分でなく中古住宅市場の透明性が低かったこと、中古住宅の評価基準が確立していなかったことがあります。

実際、木造一戸建ての場合、まだ十分住める物件でも築20~25年経つと価値がゼロと見なされる傾向がありました。

昨今では、消費者側の価値観や住宅市場の変化により、比較的手頃な価格で買える中古一戸建てを検討する方も増えてきました。
国の住宅政策方針の転換もこの傾向を後押ししています。

住宅価格の高騰も原因の1つ

建築資材価格の高騰やコロナ禍の一戸建てニーズの拡大により、新築一戸建ての価格は上昇中です。
特に東京の一部では、多くの方にとって新築一戸建ては手が届かない価格帯になっています。

中古一戸建ても考慮に入れられるのであれば、購入可能な物件の選択肢が広がります。

自分が住みたいエリアの新築一戸建ては高すぎて予算をオーバーする、希望するエリアは古くからの住宅地で新築一戸建てが市場に出ることがほとんどない、といった場合は中古一戸建てを検討すると良いでしょう。

国も中古住宅流通を促進している

日本では、人口・世帯数が減少に伴い住宅ストック数が世帯数を上回り「空き家問題」が深刻化。
空き家率は13.6%と過去最高水準です。

一方で、日本の既存住宅(中古住宅)流通量は全住宅流通量の約15%であり、70%~80%代の欧米諸国と比べると約1/6と非常に低い水準にあります(2018年 国交省「住宅・土地統計調査」)。

このような背景から、日本政府は中古住宅をより安心して取引できる環境を整備し、中古住宅市場を活性化させるため、以下のような取り組みを進めています。

  • ホームインスペクションの普及
  • 瑕疵保険の普及
  • リフォーム事業を推進
  • 住宅ローン減税の既存住宅適用要件を緩和(2022年)

中古一戸建てを購入するメリット

中古一戸建てを購入するメリットは価格が安いことだけではありません。
以下で詳しく見ていきましょう。

中古一戸建ては新築一戸建てに比べて安い

築年以外の条件が同じであれば、中古一戸建ては新築一戸建てより割安です。
また中古一戸建ての売主は個人であるため、建物価格に消費税がかかりません。

新築一戸建てより価格が安く済んだ分の予算を、リフォーム代に回して自分好みにカスタマイズしたり、新しい家具を買う代金に回したりすることもできます。

中古一戸建ては選択肢が多い

中古一戸建てはこれから市場に出る可能性のある潜在物件が数多く存在します。

たとえば、成熟した住宅地においては、新築一戸建てが市場に出ることがなかなかありませんが、潜在的な中古一戸建て物件は存在します。

時間をかけて物件を探すことができるのであれば、自分の希望にあった立地の物件を見つけられる可能性があるのです。

中古一戸建ては現物を確認できる

新築一戸建ての場合、まだ完成しない内に購入を判断することも多く、完成後に入居したら「図面やモデルルームでイメージしていたものと違った」ということがあります。

中古一戸建ては建物が既に存在するため入居後のイメージをつかみやすく、日当たりや通風も確認できるというメリットがあります。

また、大規模な新築一戸建て分譲地で周辺一帯が開発中の場合、完成後でないと周辺環境を把握できませんが、中古一戸建ての場合は店舗や公共施設など周辺環境も確認できます。

中古一戸建てを購入するデメリット

中古一戸建てには、主に築年が建っていることから生じる以下のようなデメリットがあります。

中古一戸建ては修繕費用が早期にかかる

中古一戸建ては購入後、新築一戸建てより早い時期に経年劣化等による修繕費用や設備交換費用が必要となります。

たとえば少なくとも20年に1度は修繕が必要と言われる屋根や外壁塗装を、購入後すぐに行わなければならないかもしれません。
ただし、前所有者の管理状況や過去の修繕・リフォームの実施状況により、必要な時期は異なります。

新築一戸建てよりも建物の質が劣る

一戸建て住宅の構造や設備、建築資材は過去数十年で大きく進化しました。
このため中古一戸建ては、耐震性・断熱性や設備の性能面で新築一戸建てに劣ることが多いと言えます。

ライフスタイルの変化から好まれる間取りも変化しつつあります。
以前は子供には個室、夫婦には1つの寝室が一般的でしたが、昨今の在宅勤務の普及などにより、大人にも個室が欲しいと考える方が増えてきています。

注文住宅の場合は、間取りが特殊で使いにくいこともあります。

中古一戸建ては初期費用が高い

住宅を購入する際に必要となる初期費用の中で大きな割合を占めるのが、以下の計算式で求められる仲介手数料です。

【仲介手数料の計算式】
売買価格 × 3% + 6万円(物件価格が400万円以上の場合)

新築一戸建てを購入する場合、売主が不動産会社であるなどの理由で仲介手数料が不要になることがよくあります。

中古一戸建てを購入する場合は、売主が個人であるため間に入る不動産会社に仲介手数料を支払う必要があり、その分初期費用は高く付きます。

中古一戸建ては住宅ローン審査が通りにくい

中古一戸建ては、新築一戸建てに比べて住宅ローン審査に通りにくいというデメリットがあります。

審査に通るための条件として築年数、耐震基準などがあるためで、築年が古いほど審査に通りにくい傾向があります。
中古一戸建て購入時に住宅ローン審査に通ったとしても、借入限度額が少なかったり、返済期間が短かったりすることがあります。

中古一戸建てを購入する際の注意点

では、中古一戸建てのデメリットから生じるリスクを最小限に抑え、安心して中古一戸建てを購入するにはどのような点に気を付けたら良いでしょうか。

以下で不動産会社を選ぶ際の注意点、中古一戸建ての物件を選ぶ際の注意点、売買契約に当たっての注意点に分けてご説明します。

不動産会社を選ぶ際の注意点

中古一戸建ての購入を検討するに当たって不動産会社を探す際の注意点の1つ目は、中古一戸建ての仲介経験が豊富で、自分が希望するエリアに詳しい会社を選ぶことです。

後述するように、中古一戸建てを選ぶ際には新築一戸建てにはない注意点がいくつかあり、売買契約手続きに当たっても中古一戸建てに固有の手続きやコストがあります。
中古一戸建ての特徴や取引について詳しいだけでなく、きちんと説明してくれるスタッフがいる不動産会社を選ぶことが大切です。

人気エリアにおける条件の良い中古一戸建ては市場に出回る前に買い手が付いてしまうこともあります。
物件の情報をいち早く入手し、教えてくれるような情報収集力のある不 動産会社だとなおいいでしょう。

中古一戸建ての物件を選ぶ際の注意点

中古一戸建ての物件を選ぶ際の注意点として、あらかじめ修繕等の必要性、再建築の可否、売却理由などを確認することが挙げられます。
以下で詳しく見ていきましょう。

修繕やリフォームの費用を考慮に入れる

新築一戸建てを購入する際は物件価格と初期費用が必要となります。

中古一戸建てを購入する場合はこれに加えて、修繕費やリフォーム費用も考慮に入れましょう。
中古一戸建ての購入直後、または近い将来必要となるかもしれない出費を踏まえて、資金計画を立てる必要があります。

築15年くらいまでの中古一戸建て物件であれば、老朽化もそれほど進んでおらず、すぐ住み始められることが多いでしょう。

ただ、建物の構造、使われている建築資材や管理状況等によっても異なるので、築年だけで修理の要否は判断できません。内覧では特に以下の点に注意し、もし何らかの問題があれば必要となる費用を予測しておきましょう。

物件の状況によっては、購入を控えた方が良いケースもあります。

【物件をチェックするポイント】

耐震性・地盤

・「新耐震基準」に適応しているか(書類上で建築年を確認)

・地盤の強さや液状化リスク(地方自治体のホームページやハザードマップで確認)

外壁・雨漏りなど

・外壁に塗装のはがれ、ひび割れ、雨のシミなどがないか

・屋根材のずれがないか

・天井にしみ、カビ、ふくらみがないか

・室内の壁のクロスが剥がれている箇所がないか

家のゆがみ・傾き

・ドアなどがスムーズに開けられるか

・ビー玉などを床に置いてみて一方に転がらないか

シロアリ・湿気

・床にたわみがないか

・柱や梁が傷んでいないか

・壁や天井などに不自然なシミ、壁紙の浮きなどがないか

設備

・付属してる設備の性能、そのまま使えそうか

・キッチン、浴室、トイレなどの水回りがすぐ使える状態か(水が流れるか、悪臭がないかなど)

間取り

・間取りがライフスタイルに合っているか

・吹き抜けなどの場合光熱費代が高く付かないか

地震大国の日本では最も重要と言える耐震性と地盤の強さは、一般的に築年が新しいほど優れています。
建築基準法の耐震性に関する規定は、大地震が起きるごとに強化されてきたためです。

具体的には、1981年以降に建築された建物は建築基準法の「新耐震基準」に適合しています(※1)。

新耐震基準は震度5で建物が損傷しない、震度6や震度7で建物が倒壊しないことを想定したものです。

2000年以降に建てられた建物であれば、1995年の阪神・淡路大震災の建物被害を踏まえて設定されたより厳しい「2000年基準」に適合しています(※2)。
2000年基準は地盤の状況に合わせた基礎にする、柱などの接合部を金具で固定、耐力壁を家全体にバランスよく配置することなどが新たに規定され、地盤調査が事実上義務付けられました。

つまり、1981年以降に建てられた中古一戸建て、さらには2000年以降に建てられた中古一戸建ての方が、それ以前に建てられた中古一戸建てより耐震性や地盤の強さが優れていると言うことができます。

※1、2 正確には、1981年6月1日以降に建築確認申請が行われた建物は「新耐震基準」が適用され、2000年6月1日以降に建築確認申請が行われた建物は「2000年基準」が適用されています。建築確認申請日は「建築確認証」や「検査済証」で確認可能。

中古一戸建ての改築・再建築は可能か

中古一戸建てを購入してその後改築、再建築を考えている場合、構造上または法令上、改築・再建築が可能かどうか確かめることが欠かせません。
たとえば、木造の建物は壁の位置を変更しづらいなど、建物の構造上希望したとおりに間取りを変更できないこともあるので注意が必要です。

また、今ある中古一戸建てが「違反建築物」や「既存不適格建築物」の場合、再建築ができない、または再建築できる場合でも今の建物より小さい規模の建物しか建てられないことがあります。

<違反建築物>
中古一戸建てが法令に違反して建築・増築された「違反建築物」の場合は、安全面のリスクがあったり、住宅ローンの融資を受けづらかったりするので、あまり購入をおすすめできません。
違反建築物かどうかは「検査済証」の有無や建築時の図面と現況の建物を照合して差異がないかなどから判断できます。
※ 検査済証: 建築工事完了後に建物が法令に適合している場合に交付される書類

<既存不適格建築物>
「既存不適格建築物」とは、建築時は法令に従って建てられたものの、その後法令が改正され現時点の法令には合致しない建物のことを言います。

たとえば、建築時は建物の高さに制限がなかったため高さ12mの一戸建てを建築したところ、その後法令が改正されて高さが10mまでと制限された場合などが当てはまります。
この場合、今の建物が存続する限りは原則としてその建物に住み続けられますが、建て替える場合は現状の法令に則って10m以下の建物にする必要があります。

「既存不適格建築物」かどうか、再建築する場合にどの程度の規模の建物を建てられるかは、やや専門的な内容になるため、不動産会社に質問したり、市役所等の建築課に行って相談したりするとよいでしょう。

中古一戸建てが売りに出された理由は何か

中古一戸建てが売りに出された理由も不動産会社に聞いておきましょう。
転勤など個人的な理由であれば問題ありませんが、近隣トラブル、欠陥住宅、嫌悪施設が近くにできたなど、物件自体や周辺環境が原因である場合は、購入自体を慎重に検討した方がよいでしょう。

中古一戸建ての売買契約に当たっての注意点

中古一戸建ての売買契約を締結する際の注意点を、以下でご説明します。

住宅ローンの事前審査を受ける

新築一戸建てに比べて住宅ローンの審査要件が厳しい中古一戸建て。
審査に必要な書類である検査済証、建物図面、修繕履歴など、もしあれば耐震診断書や性能評価書などの書類を早めに準備しておきましょう。

中古一戸建ての中でも違反建築物や既存不適格建築物は、より住宅ローン審査に通りにくいことに留意しましょう。

住宅ローン減税が適用されるか確認

購入する中古一戸建てに、通称「住宅ローン減税」と呼ばれる「住宅借入金等特別控除」が適用されるか確認しておきましょう。

以前は、木造の中古一戸建ては原則として築20年以内でなければ住宅ローン減税を受けられませんでしたが、2022年の税制改正により、中古一戸建ての築年数要件が緩和され、以前より適用されやすくなりました。

具体的には、1982年以降に建築された住宅(新耐震基準に適合した住宅)であれば、住宅ローン減税を受けられるようになり、築40年の中古一戸建てでも住宅ローン減税が適用可能になりました。

修繕費・リフォームの必要な時期と費用を予測する

修繕費やリフォームをしてから入居するのか、または入居後近いうちに必要になりそうか、その費用はいくらくらいかについて予測を立てておきましょう。

国土交通省の「令和3年度住宅市場動向報告書」によると、リフォーム費用の平均は201万円。
ただし、リフォーム費用は物件の特徴や築年、これまでの修繕履歴等により大きく異なります。不動産会社やリフォーム会社に相談することをお勧めします。

契約内容を確認

中古一戸建てを購入する際は、契約内容をよく確認すべきです。特に注目すべきなのが、「契約不適合責任」(旧「瑕疵担保責任」)の内容。

「契約不適合責任」とは、事前に説明を受けていない雨漏りなどの不具合が見つかった場合、購入者は売主に修繕費の支払いなどを請求できることを意味します。

契約書に書かれている契約不適合責任の範囲や期限を確認し、気になる点がカバーされていない場合は、その点を追加できないか聞いてみましょう。

瑕疵保険加入の検討

購入後に判明した隠れた不具合が原因でトラブルが生じた際に保険金が支給される「瑕疵保険」。
新築一戸建てを購入する際は加入が義務付けられています。

中古一戸建て購入時には加入が義務付けられていませんが、購入後に不具合が見つかるリスクは、新築一戸建てより高いです。

既に瑕疵保険に加入しているかどうか確認し、未加入の場合は、中古一戸建ての購入申し込みをしてから契約前までの間に加入を検討することをお勧めします。

ホームインスペクションの依頼を検討

前述した「中古一戸建ての物件を選ぶ際の注意点 - 修繕やリフォームの費用を考慮に入れる」の項で、内覧時に見るべき箇所をご説明しました。
ただ、素人が目視しただけでは分かりにくい部分も当然あります。

そこで、プロに物件の状況や修理の必要性の有無などの調査をしてもらう「ホームインスペクション」の依頼を検討されてはいかがでしょうか。

欧米では契約後に買主負担でホームインスペクションを受けるのが一般的。
瑕疵が見つかった場合は、売主に対して購入キャンセルや修繕交渉ができます。

日本でも国交省がホームインスペクションの普及を目指しており、今後は中古一戸建て市場において徐々に普及していくことが見込まれます。

まとめ

中古一戸建ては価格が安いというメリットがありますが、築年が経っているため購入に当たっての注意点が新築一戸建てよりも多いです。
住宅は一生の買い物。購入してから「こんなはずじゃなかった。」ということにならないよう、上述した注意点に留意して、満足のできる取引を目指しましょう。

中古一戸建ての購入に当たっては、信頼できるパートナーとなる不動産会社を見つけることが大切です。
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