不動産会社を通さない個人売買のメリット・デメリット!お得なのはどっち?

  • 記事公開日:2022/03/10
不動産会社 通さない

不動産会社を通さない個人売買のメリット・デメリットについて解説します。
個人で取引を行うからこそ、不動産会社を通すよりもお得に売買できる可能性があります。
個人売買の特徴や具体的な流れも解説するので、不動産会社を通さずに家を売却したい人は是非参考にしてみてください。
自分でやるからこそのリスクやデメリットを元に、個人売買か不動産会社を通すか検討してみましょう。

不動産会社を通さない売却方法はある?

家の売却を考える際、不動産会社を探すところから始める人は多いでしょう。
しかし、不動産会社を通すと手数料がかかったり、複数ある不動産会社から一番良いところを探したりする手間がかかります。
実は、不動産会社を通さないと売却できないということはありません。
宅建士の資格を持っていなくても、個人間売買は可能です。

実際、友人や知人などに個人的に売買している人がたくさんいます。ただ、プロを通さずに契約を交わすには、様々な手間やデメリットも生じるため、一般的にはあまり普及していません。
しかし、個人間売買に必要なことさえ押さえておけば、あなたも不動産会社を通さずに家を売ることは可能です。
どちらの方があなたにとってメリットが大きいか比較し、選択をしましょう。

不動産会社を通さないメリット

不動産会社を通さない売却には、どのようなメリットがあるのでしょうか。個人間売買ならではのメリットを紹介します。

仲介手数料がかからない

不動産会社を通して家を売却する場合、成功報酬として仲介手数料を支払わなくてはなりません。
仲介手数料の分だけ自分の手元に入る金額が減るので、利益が少なくなってしまいます。
一般的に仲介手数料には、成功報酬以外にも各種手続きの代行費用も含まれます。
その手続きを代わりにしてくれる点で手間を減らすことはできますが、自身で問題なく行えるのであれば、業者を通さない方が利益を多く残せます。

仲介手数料は、金額に応じて上限が決められているものの、かかる費用は不動産会社によって異なります。
例えば、200万円で家を売る場合は11万円。800万円で家を売る場合は33万円が上限です。

不動産業者を通すと、物件の販売価格が高くなるほど仲介手数料は高くなるので、家が高く売れたからといって必ずしも利益も多くなるとは限りません。売却するならば、少しでも手元にお金が残るように売りたいものですね。

非課税対象になる

業者を通して不動産を売る際、土地は非課税対象ですが、家屋は課税事業者が行う場合は消費税がかかります。
しかし、個人間での売買となると家屋は非課税対象になります。
購入者は消費税がかからない分安く家を手に入れられるため、値下げをしなくても購入者にお得に買ってもらえます。

一見売主には関係ないかもしれませんが、買主にはかかる費用が少ないというメリットがあるので、売却先が見つかりやすくなります。

ただし、不特定多数の人に対しての販売や、短期間に何回も不動産売却を行うと事業者とみなされる可能性があります。
事業者として売却するのであれば資格が必要になるので、注意しましょう。

売却を不特定多数の人に知られない

個人間で売買する場合、不動産会社を通した取引とは違い不特定多数の人に売却情報が知られる心配がありません。
自分が本当に信頼できる人だけに売却を考えている方や、ひっそりと売りたい方におすすめです。
個人売買ならば、自分で買い主を探せるため、売りたい相手が決まっている人には合っているでしょう。

不動産会社を通さないデメリット

不動産会社を通さない売却は、何かと不便な点が多くデメリットもあります。
実際に個人売買を始める前に、どのようなデメリットがあるのか確認しておきましょう。

クレームやトラブルを自分で対処する必要がある

知り合いや友人などに売却するならば、信頼関係が出来上がっているためクレームは起きないでしょう。しかし、家を売るまでには様々なトラブルが生じる可能性があります。ただ品物を売る場合とは異なり、プロセスがややこしいので問題が起こりやすいのです。

個人間売買契約のプロセスは以下の5つの流れで行われます

  1. 買主を見つける
  2. 売買契約を締結する
  3. 代金の入金を確認する
  4. 物件の引き渡しをおこなう
  5. 不動産の名義変更をおこなう

売買契約を締結する時が最もトラブルが起こりやすいです。例えば契約書の内容などについては、契約書の内容をお互いに確かめなければ、後々言った・言わないのトラブルになりやすいです。不動産会社を通さないからこそ、1つひとつを丁寧に確かめる必要があります。また、この際に手付金を支払ってもらうため、その金額やその後の入金日を確認しておきましょう。

また、物件の引き渡しについても予め時期を決めておかなければなりません。その期限を守らなければ契約違反になってしまうため、お互いが無理のない期限を決めるようにしましょう。

個人間売買でトラブルが一番起こりやすいのは、入金から引き渡しのタイミングです。住宅ローンの審査など、通常の買い物とは違い思うように入金日に買主がお金を用意できない可能性もあります。その辺りも予め頭に入れておきましょう。不動産会社ならばスムーズに対処できることも、個人では時間がかかってしまう部分が多いです。

個人間売買では住宅ローンが使えない?

ローンの審査が通らないトラブルが起こりやすいと前述しましたが、個人売買の場合は住宅ローン申請が少し面倒になります。
まず書類の準備面でも大きな問題があります。
住宅ローンの審査には重要事項説明書の提出が必要で、この重要事項説明書は宅地建物取引士の資格がないとできません。
不動産業に関わるなら持っている人や有資格者の知人がいる人がいるかもしれませんが、そうでない場合も多いでしょう。
しかも、銀行によっては個人間売買での住宅ローン審査を出しても前向きに検討してくれなかったり、個人間売買の住宅ローンの金利を一般的な住宅ローンよりも高く設定したりしていることも。
住宅ローンの申請を買主が希望している場合、手間が増えることを覚えておきましょう。

自身で契約書の作成が必要

不動産会社で家を購入する時、契約書の確認を必ずします。
家を売る時には必ず購入者に説明しないといけない部分が多く、売却時にはそれらを文章にして契約書を自身で作成しなければなりません。不動産知識があれば問題ありませんが、知識がないと訳がわからないことも多いでしょう。
個人間売買をお考えの方の為に、ここでは準備が必要なもの、売買契約書、そして重要事項説明についても簡単に解説します。

準備が必要なもの

売買契約をする際には、売買契約書以外にも様々なものが必要です。
法務局などでの手続きに必要なものから、契約書作成に必要なものまで主な必要書類についてまとめました。
準備できるものは早めに準備をしましょう。
ただし、印鑑証明書など、効力が発行から3か月以内の書類もあるので、計画的に動きましょう。

  1. 登記識別情報(登記済権利証)
  2. 実印
  3. 本人確認証
  4. 建築確認通知書と検査済証
  5. 印鑑証明書(発行から3か月以内)
  6. 固定資産税納付書
  7. 収入印紙
  8. 土地測量図・境界確認書(一戸建て・土地の売買の場合)
  9. マンションの管理規約(マンションの場合)
  10. ローン残高証明書もしくはローン返済予定表(ローン返済中の場合)

必要に応じて準備が必要になるものもあります。例えば、地盤調査や耐震診断、住宅性能評価などです。
紛失しているなど、その時の状況で必要書類は増えますので、わからないまま進めるよりもプロに相談する方が安全です。

売買契約書で記載必要な項目

売買契約書を作る際に、記載が義務付けられている項目を紹介します。
友人・知人だからと曖昧にしているとトラブルの元になるので、双方で話を進めながら作成をしましょう。

  1. 売買物件の表示
  2. 売買代金、手付金当の額、支払期日
  3. 土地の実測及び土地代金の精算
  4. 所有権の移転と引き渡しの時期
  5. 付帯設備等の引継ぎ
  6. 負担の消除
  7. 公租公課等の精算
  8. 手付解除の期限
  9. 契約違反による解除
  10. 引渡し前の物件の滅失・毀損
  11. 反社会勢力の排除
  12. ローン特約
  13. 契約不適合責任

売買契約書には、売買される物件と買主・売主が誰であるかを明確に記す必要があります。
代金の支払いに関しては、契約時に一部支払う手付金の金額や、支払期日、支払い方法などを記載します。
これを行わなければ、後から手付金がいくらか、支払期日はいつかと揉める可能性があります。

販売価格は、計測した土地の広さと相場を元に計算し、記載を行います。
引き渡し時に、売主から買主に所有権が移るタイミング、引き渡しの日時と場所、引き渡しまでの物件の保管費用をどちらが持つかについても取り決めます。

万が一の場合の項目も重要です。
自然災害など当事者に責任がない状況で、目的物が滅失した場合の代金の支払いに関する定めや、各種契約違反に関する内容などはしっかりと記載しましょう。

売買契約書の作成に悩んだ際は、この項目を元に作成すると作りやすいです。
売買契約書のテンプレートはネットからダウンロードできる場合もあります。項目を確認しながら、クラウド契約書などを活用してみてください。

住宅ローンを使いたいなら重要事項説明書も作成

買主が住宅ローンを組み場合には、重要事項説明書の提出が必要となります。
重要事項説明書には物件についての説明の他に、以下の項目が必要になります。

  • 法令上の制限についての説明
  • 土地と道路の関係(主に一戸建て・土地)についての説明
  • インフラ整備(主に一戸建て・土地)についての説明
  • 敷地や建物の状態についての説明
  • マンションの場合共用部分についての説明
  • 代金以外に必要な金銭についての説明
  • 契約解除についての説明
  • 保険加入についての説明

契約書を作成するだけでも個人が行うのは大変です。
それに加えて重要事項説明書の作成をするとなれば、売主の負担は大きくなります。
重要事項説明書の作成が必要な場合は、重要事項説明書作成サービスを行っている不動産会社や、不動産コンサルタント会社、不動産行政書士事務所などに依頼してみるといいでしょう。

不動産会社に相談してから決めよう!

個人売買にはたくさんのメリットがありますが、同じくらいリスクが伴います。
売却者本人が準備する物も多いため、大変な作業となります。
法律に関する契約書の作成なども行わなければならないため、無知のまま行ってしまうと、トラブルになりかねません。
大きな買い物だからこそ、わからないまま売買を始めるのは危険です。
書類に関して司法書士などの専門家に相談することも可能ですが、実は個人売買についても不動産会社に相談することも可能。

不動産会社なら不動産に関すること全般について聞けるのでメリットが大きいです。
個人売買を行うにしても、不動産会社に任せるにしても、まずはプロに相談しましょう。

最近では、個人間売買のサポートを行っている不動産会社もあるので、不動産会社に頼りながら進めるのも1つの方法です。
また、仲介手数料無料で売買仲介してくれる不動産会社もあるので、面倒な書類の準備等を任せながら受け取る金額を減らさずに済む方法もあります。

まとめ

個人売買のメリット・デメリットについて見てきました。
個人売買は仲介手数料や消費税がかからずにお得に売れるメリットがありますが、自分で契約書を作成するなどのデメリットも生じやすいです。

インターネットで調べた情報だけでは、わからない部分も多く難しいでしょう。
まずはプロに相談して、売却の流れや売却に必要な情報を確認しておきましょう。様々な方法を検討した上で、ご自身にとって一番良い方法を見つけてください。