不動産を売却・購入する際に必要な書類を詳しく解説

  • 記事公開日:2022/04/25
  • 最終更新日:2022/04/27
不動産 売買 書類

不動産を売買する際には、さまざまな書類が必要となります。
それもそのはずで、不動産は「自分が所有していますよ!」と、法務局に登記申請をしていますから、売る側はそれを証明する資料が必要ですし、購入する側は不動産という財産を所有すことになるため、法律に基づいた書類が必要となってきます。
そこで、不動産を売買する際に必要となる書類や不動産仲介会社の存在、必要となる書類の入手方法について詳しく解説しましょう。

目次

不動産を売却する際に必要な書類のパターン

不動産といっても、「マンション・戸建て住宅・土地」と大きく3種類に分かれます。
また、不動産を売却する際には、ほとんどの方が不動産仲介会社に売却を依頼するでしょう。
この時、不動産会社に提出する書類と、買主に提出する書類の2種類の書類が必要となります。
ここでは、それら必要な書類を一覧表でまとめてみました。

不動産別・不動産仲介会社に提出する書類一覧

◆不動産仲介会社に提出する書類の一覧表です。

必要な書類 マンション 戸建住宅 土地
登記簿謄本または登記事項証明書
売買契約書
物件購入時の重要事項説明書
登記済権利書または登記識別情報
土地測量図・境界確認書
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
物件の図面
設備の仕様書
建築確認済証および検査済証
建築設計図書・工事記録書
マンションの管理規約または使用細則
マンション維持費関連書類
耐震診断報告書
アスベスト使用調査報告書

◯:必須となる書類 △:任意もしくは必要になるかも知れない書類

不動産仲介会社に提出する書類を解説

先の一覧表を見るとおり、提出する書類はたくさんあります。
不動産仲介会社に売却を依頼すれば、細かく必要な書類を教えてもらえるので安心です。
でも、予め知っておくのとそうでないのとでは、理解するまでの時間に大きな差が出てしまいます。
なので、ここでは提出書類の内容や入手先について詳しく解説しておきましょう。

必須となる書類の解説

一覧表では「◯:必須となる書類と、△:任意もしくは必要になるかも知れない書類」の2種類が存在しています。
先ずは、必須となる「◯」の書類について解説しましょう。

登記簿謄本または登記事項証明書

対象:マンション・戸建て住宅・土地
登記簿謄本または登記事項証明書は、法務局から取り寄せる書類です。
マンション・戸建て住宅・土地の全ての不動産は登記を行います。
この書類には、不動産の所在地・面積(大きさ)・所有者(持ち分)・抵当権の有無などが記載されていて、不動産を売却する際には必ず必要となります。
不動産を登記していないと売買することはできませんから、とても重要な書類です。

売買契約書

対象:マンション・戸建て住宅・土地
売買契約書は、現在の不動産を購入した際に当時の売主と締結した書類です。
「契約日・引き渡し日・売買の金額・手付金の額・付帯する特約」などが記載されていて、売主と買主の双方が合意の上で売買した証明となる書類です。
売却する際には、新たな売買契約書を締結しますが、譲渡所得の計算をする際に必要となっています。

物件購入時の重要事項説明書

対象:マンション・戸建て住宅・土地
重要事項証明書は、不動産を買い取る側を保護するための情報を記載した書類です。
重要事項説明書に記載される項目は、基本的に次の項目となっています。

■対象となる宅地・建物に直接関係する事項

  • 私道負担の有無
  • ガスや電気などインフラの設置状況
  • 防災区域内・土砂災害警戒区域内か否か

■取引条件に関する事項

  • 損害賠償請求や違約金についての記載

■その他、売買に関する重要な項目

※マンション等の区分所有建物の場合には、さらに次の事項が記載されます。

■1棟の建物・その敷地に関する権利や管理・使用に関する事項

  • 共有部分に関する規約

登記済権利証または登記識別情報

対象:マンション・戸建て住宅・土地
登記済権利書または登記識別情報は、登記名義人がその物件の本当の所有者であることを証明する書類であり、法務局が登記名義人に対して発行します。
2005年までは法務局に出向かないとダメでしたが、現在ではインターネットによる申請ができるようになり、通知もオンラインで行えるようになったので、意外とカンタンに入手が可能です。

土地測量図・境界確認書

対象:戸建て住宅・土地
土地測量図・境界確認書は、戸建て住宅や土地を売却する際に必要で、土地に関わる書類です。
土地の大きさが示されていて、面積を計算する求積表が記載されています。
また、測量図には土地の境界点も記載されますが、昭和時代の測量図には明確な境界点がないモノもあり、測量図とは別に、境界確認書が添付されているケースもあります。
ただ、昔の測量図では測量が曖昧なため、隣地の所有者と立ち合いの元で新しく測量図を作った方が良いでしょう。

固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書

対象:マンション・戸建て住宅・土地
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書は、固定資産税の税額と納付の確認や、移転登記の際の登録免許税を計算する時に必要な書類です。
また、固定資産税評価証明書は固定資産税の課税対象の資産について、その評価額を把握できるので、売却する際の価格設定に利用できます。

物件の図面・設備の仕様書

対象:マンション・戸建て住宅
マンションや戸建て住宅では、売却物件の図面や設備の仕様書があれば、住宅の間取りやどのような設備が備わっているのかを把握することができます。
売却前にリフォームをした場合、設備の仕様書があると「築年数は古いけれど、住宅設備は最新の設備になっている」とアピールにも繋がり、物件を高く売却できる期待が持てます。

建築確認済証および検査済証

対象:戸建て住宅
建築確認済証および検査済証は、一戸建て住宅を売却する際に必要な書類です。
この書類は、売却物件が建築基準法に違反していないことを証明する、重要な書類となります。

マンションの管理規約・使用細則・維持費関連書類

対象:マンション
マンションの管理規約・使用細則・維持費関連書類は、マンションを売却する際に必要な書類です。
どのような規則があるのか、ペットの飼育が可能であるのかなどを、買主が知るための書類となります。
また、管理費や修繕費用の積立金などを把握するためにも必要です。

任意もしくは必要になるかも知れない書類の解説

次に、任意もしくは必要になるかも知れない書類を解説します。
ここでの書類は、絶対に必要である書類ではありませんが、「もしあれば提出してもらえますか?」と、問われる可能性の高い書類となります。
また、条件によっては提出が必要となるケースもあるので、不動産仲介会社に確認しておきましょう。

建築設計図書・工事記録書

対象:マンション・戸建て住宅
建築設計図書・工事記録書は、住宅がどのように設計されてどんな工事をしているかを、把握するための書類となります。
新築の注文住宅の場合は、引き渡し時にハウスメーカーや工務店から保証書と一緒に渡されているはずです。
その他、リフォーム工事を行った際には、リフォーム会社から提出されます。
多くの場合、耐震設計となっているかを確認するために求められます。

耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書

対象:マンション・戸建て住宅
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた建物を売却する際に求められる書類です。
先の期日にて、新築住宅への耐震基準が変わっていますから、この期日以前の建物が新基準に対応した耐震補強を行っているかを、確認するために必要となります。
ただし、耐震検査を受けていない場合は提出することができないのですが、特に問題はありません。
また、アスベストの調査を行っている住宅の場合は、アスベスト使用調査報告書も併せて提出すると安心されます。

買主に提出する書類を解説

ここでは、買主に提出する書類の内容を解説しましょう。
買主に提出する書類は、必須となる書類よりも「任意もしくは必要になるかも知れない書類」の方が多くなっています。

必須となる書類は基本的に2つ

必須となる書類は「本人確認書類・実印・印鑑証明書」の3つが挙げられていますが、実印は提出するのでなく書類に押印するために使います。
そして、押印した印鑑が実印であることを証明するために、印鑑証明書が必要となってきます。

本人確認書類

対象:マンション・戸建て住宅・土地
売主を証明するために必要で、顔写真付きの次の書類が有効となってきます。

  1. 運転免許証
  2. 運転経歴証明書(平成24年4月1日以降交付のもの)
  3. パスポート
  4. マイナンバーカード

実印・印鑑証明書

対象:マンション・戸建て住宅・土地
基本的に売買契約書などの契約書類には、実印を押印する必要があります。
ですから、契約書類には実印が必須となってきます。さらに、その印鑑が実印である証明書となる「印鑑証明書」も必要です。
注意点は契約日から3ヶ月以内に発行された印鑑証明書が有効となるため、最新の印鑑証明書を用意しなければならないことです。

任意もしくは必要になるかも知れない書類

では次に、任意もしくは必要になるかも知れない書類の内容を解説しましょう。
銀行口座の通帳(銀行振り込み先情報)は、売却したお金を振り込んでもらう際に必須と思われがちですが、必須ではありません。
このあたりも詳しく解説していきます。

住民票

対象:マンション・戸建て住宅・土地
住民票は売主が現在住んでいる場所と、登記簿に記載されている住所が異なる際に必要となります。
マンションや戸建てを売却する際には、基本的に現在住んでいる状態なので問題ありません。
ただ、土地だけの場合は異なるケースが多くあるので、住民票が必要となってきます。
この住民票も、書類作成から3ヶ月以内の最新の住民票が必要なのでご注意ください。
住民票は役場で申請して発行してもらい、1通約300円が一般的です。
マイナンバーカードがあれば、コンビニなどで約200円と役所よりも安く、いつでも発行できるので便利です。

銀行口座の通帳(銀行振り込み先情報)

対象:マンション・戸建て住宅・土地
先にもお伝えした通り、銀行口座の通帳は買主から求められた際に提出します。
売却したお金を振り込む際には、契約書類の中に振込先の銀行・口座番号・氏名など記載する書類があるので、特に通帳が必要とはなりません。

ローン残高証明書または、ローン返済予定表

対象:マンション・戸建て住宅・土地
これは、住宅ローンの残金がある場合、買主から求められた際に必要となります。
先ず、住宅ローンが残っている状態では不動産物件を売ることはできません。
例えば、住宅ローンが1,500万円残っている場合、2,000万円で購入してもらえれば、住宅ローンを完済して売却することができます。
ですが、購入額が1,000万円だった場合だと、自己資金がプラス500万円必要となります。
なので、買主が住宅ローンを完済できるか確認するために、提出を求めることがあります。
基本的には、不動産仲介会社によって売買契約が成立するように手配してくれるので、心配する必要はありません。

物件のパンフレットなど

対象:マンション・戸建て住宅・土地
築浅物件を売却する際には、購入時の物件をPRしているパンフレットなどがあれば、物件情報がよく分かってくるので有効となってきます。
これは、あくまで築浅物件で有効なものであるために、全ての物件には当てはまりません。

不動産物件を購入する際に必要な書類

ここまで、不動産物件を売却する際に必要な書類を解説してきました。
ここからは、不動産物件を購入する際に必要な書類を解説していきましょう。
不動産を購入する際にも、さまざまな書類が必要となってきますので、予め知っておくとムダにはなりませんので、ぜひ参考にしてください。

不動産会社に必要な書類は申込書

住みたいマンションや戸建て住宅、土地付きの注文住宅の場合、ほとんどが不動産仲介会社を利用します。
恐らく、複数の不動産会社を訪問して最終的には1社に決定するでしょう。
その際に不動産会社に提出する書類は、申込書となります。
ただし、不動産会社によっては呼び名が違うケースや、他にも書類が必要となるケースもあります。

住宅ローンを申し込む際に必要な書類

マンションや戸建て住宅、土地付きの注文住宅を購入する際には、ほとんどの方が住宅ローンを利用するはずです。
ここでは、その住宅ローンを申し込む際に必要となる書類を解説します。

住宅ローン事前申込書

不動産会社を通じて住宅を購入する際には、ほとんどの不動産会社が資金確保のサポートを行っています。
複数の金融機関を紹介してくれて、住宅ローンの申し込みをサポートしてくれるのです。
先ずは、各金融機関へ住宅ローン事前申込書を提出します。

本人確認書類

住宅ローンを申し込む際には、本人確認書類が必要です。
顔写真付きの、住所・氏名・生年月日が記載されている公的な次のような書類が一般的です。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 健康保険証

収入証明書類

次に住宅ローンの返済能力があるかを確認するために、収入を証明する種類が必要となります。
サラリーマンの方で定期的な収入のある方は、源泉徴収票や直近の給与明細などを求められます。
また、個人事業主の方においては、直近の確定申告書の控えの提出が必要です。

ローン対象物件に関する書類

住宅ローンはあくまでも「住宅や土地」を購入するための、住宅専門のローンです。
ですから、どの物件に対して借り入れを行いたいのか、パンフレットや間取り図、公図などの書類が必要です。
ただし、これらの書類は不動産会社のサポートにて用意してもらえるので、自分で揃える必要はありません。

他社借入残高証明書類

住宅ローンを申し込む際に最も重要となるのが、他社への借入件数と金額です。
これは、住宅ローンに限らず融資を受ける際のハードルとして存在していて、ベストなのは他社の借り入れがゼロであり、つまり「借金がない状態」です。
もしも、返済可能な借金がある場合は先ずは既存の借入を完済してから、住宅ローンに申し込むようにしましょう。

売買契約に必要な書類

住宅ローンの審査を通過して、実際に物件を購入する際には売買契約書が必要となってきます。
この時に必要な書類は次のとおりです。

売買契約書・実印・印鑑証明書

戸建て住宅やマンション、土地など不動産を購入した際には、売買契約書を締結します。
その際に必要となるのが、実印と印鑑証明書です。実印は、売買契約書の必要な個所に押印を行います。
印鑑証明書はその押印した印鑑が、実印であることを証明するためのモノです。
ここで提出する印鑑証明書も、書類作成日より3ヶ月以内に発行された証明書が必要です。

不動産登記には委任状が必要

購入したマンションや戸建て住宅、土地などの不動産は、必ず不動産登記をしなければなりません。
多くの場合、不動産会社が指定する司法書士が、代理で有償にて行ってくれます。
中には不動産会社に、専属の司法書士が在籍している場合もあります。
いずれにしても、司法書士に不動産登記を依頼する際には委任状が必要です。

まとめ

今回は、マンションや戸建て住宅、土地などの不動産を、売却・購入する際に必要な書類を詳しく解説してきました。
マンション・戸建て住宅・土地で、それぞれ共通に必要な書類と、個別に必要な書類が存在しています。
記事内では冒頭にマンション・戸建て住宅・土地の、それぞれで必要となる一覧表を作成していますので、ぜひ参考にしてください。
また、各必要な書類の項目の先頭に、対象となる不動産の種類も掲載しています。
不動産会社を通じて売買する際には、売主にも買主にも必要な書類は教えてくれるので心配する必要はありません。
ただ、よりスムーズな取引を行うためにも、記事を参考に知識を持っておくと有効です。