コロナが不動産業界にもたらした影響とは?現状と今後の見通しについて解説!

  • 記事公開日:2021/05/08

新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな業界はその影響を受けています。不動産の業界においても例外ではありません。

2020年4月、最初に発出された緊急事態宣言後も終息の兆しが見えない中、人との距離を保ち、密を避ける生活を余儀なくされたことで、不動産市場にはどのような動きがあり、今後はどのように変化していくと予測されるのでしょうか。

またコロナ禍でも都市部の需要が好調だった理由とは何でしょうか。

 

2020年の緊急事態宣言が不動産市場に与えた影響とは

2020年の年明けには誰も予想すらしなかった、日本国内での新型コロナウイルスの蔓延。その数か月後には都市部を中心に感染者数が急増し、緊急事態宣言が発出される事態になりました。

人々は「密を避ける」「一定の距離を保つ」などの行動を制限されたことで、日常生活だけではなく、さまざまな業界にその影響は波及し、不動産の業界も例外ではありませんでした。

緊急事態宣言下における不動産市場への影響

2020年の4月の緊急事態宣言下において、人々が外出自粛を余儀なくされる中、多くの企業では在宅勤務・テレワークに移行し、満員電車での通勤を避けるようになりました。通勤の必要性がほとんどなくなったことから、不動産検索サイトでは、感染者数の多い都心よりも郊外や地方物件が注目されていました。

大手不動産仲介業者では、新築物件の住宅展示場やモデルルームが休業要請で営業することができない影響を受け、営業活動が制約またはストップする状況となった一方で、完全予約制を採用しながら営業を続けた仲介業者もあり、対応はさまざまだったようです。

大手ゼネコンでは緊急事態宣言中の工事中断を発表しましたが、発注者が個人の住宅の場合、工事の遅延による引渡し時期の遅れに対して損害を被る可能性があるため、多くのハウスメーカーでは難しい判断を強いられました。また住宅建設に必要な資材や木材などが入手困難となるなど、広範囲に渡っての影響が見られました。

緊急事態宣言解除後の動き

緊急事態宣言下で業務の流れが一時ストップしてしまった不動産の業界ですが、解除後もコロナは収まらず、引き続き感染予防対策を取りながらの業務となりました。営業活動にも変化が見られ、接客には人数制限やアクリル板の設置、内見はオンラインやデジタルツールを駆使しての対応に切り替えた業者もあったようです。

一時的に休工していた工事現場も感染予防対策を取りながら再開され、入手困難となっていた資材関係は国内で調達する方向へ転換するなど、コロナの終息が見えない中で、不動産の流れが途切れてしまなわないような対策が取られるようになりました。

不動産需要にはどんな影響があったのか

2020年4月に発出された緊急事態宣言発出直後には停滞していた不動産需要ですが、5月に解除されると、都市部の不動産需要はマンション・一戸建てともに新築・中古の取引が回復しています。しかしながら全国レベルでは、停滞が続く結果となっています。

また在宅勤務やリモートワークの推奨により、一次的に郊外や地方の物件が注目されていましたが、緊急事態宣言解除後には郊外よりも都市部の需要が強まったのも大きな特徴といえます。

また不動産市場において景気に左右されにくいといわれている一戸建て住宅ですが、コロナ禍において住宅市場の支えとなっているのが「低金利」だということです。

いずれにしても今後の住宅市場を左右するのは、コロナの影響どこまで続くのかが大きく関わってくるようです。

コロナ禍でも都市部の不動産市場が好調?その理由とは

コロナ禍では国内全体としては、不動産市場は低迷しているといわれている中で、都市部においては上昇傾向が見られました。そこにはどのような理由があったのでしょうか。

 

コロナ禍における国内全体の不動産市場の動き

全国的に不動産市場が業績悪化の中、都心部の中古・新築物件は一戸建て・マンションともに一時的な落ち込みから回復傾向にあります。

この理由には、コロナ禍における働き方が在宅勤務にシフトしつつある中でも、やはり月に数回の通勤が必要な場合も少なくないなどの理由から、郊外や地方に移動するよりも、都心部で生活したほうが利便性の面から無駄が少ないという考えに落ち着いてきたこともあるようです。

とはいえ人が密集しない郊外や地方の物件のニーズもあり、どちらかといえばセカンドハウス的に所有し、週末のみ過ごすという利用の仕方を考えている人も少なからずいるようです。

コロナ禍での都市部の住宅市場の動き

コロナ禍の都市部の住宅市場にはどのような動きがあったのでしょうか。2020年8月時点と、その前年との比較では次のようなデータが発表されています。

新設着工戸数(※総数-9.1%)

〔地域別〕首都圏-6.4%、大阪圏-7.6%、名古屋圏-14.7%、地方圏-10.7%、

〔種別〕持家-8.8%、貸家-5.4%、分譲住宅-15.9%

以下は、首都圏における2020年8月末現在の前年比のデータです。

〔中古マンション〕

新規登録件数-13.3%、成約件数+18.2%

〔中古戸建て〕

新規登録件数-16.9%、成約件数+21.8%

〔新築マンション〕

供給戸数-8.2%、分譲平均平米単価+4.2%、初月契約率68.5%、期末在庫数+1.6%

〔新築戸建て〕

新規登録件数-25.5%、成約件数+35.8%、成約平均価格-0.8%、在庫件数-18.4%

※「不動産市場動向データ集」(公社)全国宅地建物取引業協会連合会不動産総合研究所より

都心部では価格、契約率ともに上昇基調にあり、需要が伸びているのが分かります。

 

在宅勤務増加による物件ニーズ

コロナの影響で働き方にも大きな変化があり、いわゆる「在宅勤務・テレワーク」へ切り替えを行った企業も増え、在宅ワークに適した物件にも注目が集まるようになりました。家族構成によりワークスペースは限られてきますが、次のような条件は必要という声が多いようです。

  • ネット環境がよい
  • 周囲の騒音が少ない
  • 自然光で部屋が明るい
  • 広めの机が置けるぐらいの空間が確保できる
  • 隣室に声が漏れない

会社のオフィスで働いていたときには感じなかったことでも、いざ自宅で仕事を長時間続けると、デスク周りの環境が気になることもあります。コロナ終息後も在宅勤務が定着する可能性が大きくなりつつある今、自宅でデスクワークをすることを想定した物件の需要も高まりそうです。

コロナが不動産投資へ与える影響とは

不動産投資の側面から、新型コロナウイルスが与えた影響はどのようなことなのでしょうか。

賃貸物件の需要への影響は?

コロナにより行政からの飲食店などの店舗に向けた営業自粛要請や、国民へも外出自粛を呼びかけることで、事業者にとっては収入を望めない状況下、家賃を支払えないというテナント入居事業者も急増しました。

そんな中、借主の事業者からは家賃減免措置を求める動きもありましたが、行政から賃貸事業者に対して補助や支援が十分でないため、負担が大きくなる結果となってしまいました。

貸主には賃貸収入が減るばかりでなく、借主となるテナント企業が撤退しその後空き室状態が続いてしまうというリスクも発生します。

オフィスや商業施設といった賃貸需要の低下に加え、コロナによる影響が当面続くことを考えると、不動産の業界へは甚大な被害となることも考えられそうです。

価格帯への影響は?

新型コロナウイルスにより景気の悪化が続くと、物件価格にも影響が出てきます。都市部の一部を除き新築マンションの内見率や成約数が伸び悩んでいる中、販売数減少による損失を抑えるための値引きや割引が予測されています。

中古マンションは新築マンションほどの価格への影響は起こりにくいとみられているものの、株価の下落による影響は受けると考えられています。

 

不動産投資のための融資はどうなる?

コロナの影響による物件評価額の低下に伴い、不動産物件の担保評価も低下する恐れがあるという見方がされています。そのため、不動産投資目的とした資金の調達は厳しくなっているようです。

その一方で、コロナ禍で退去者や家賃の支払いができない人を抱える不動産管理者に対しては、国や自治体は資金繰り支援のために、無利子・無担保融資などの対策がされています。

追加融資も受けることができる体制が整えられているため、不動産管理者にとってはひとまず資金繰りの面では有効な手段と言えるかもしれません。

ただし給付金ではないため、コロナが収束した後に返済しなければならないことを考え、一度に多額の借入をするのは避けて、返済の負担を少なくしておいたほうがよさそうです。

コロナの影響を受けにくい物件とは?

ところで、コロナ禍の不動産市場の景気が低迷している状況でも、あまりその影響を受けにくい物件はあるのでしょうか。

一般的に面積が狭い家は賃料の低下も起こりにくいという理由で、都心のワンルームマンションが影響を受けにくいといわれています。

近年、東京23区の一人暮らしは増加の傾向にあり、コロナ禍でも感染リスクが低く、外出自粛生活にも向いていることから需要の減少は考えにくいようです。

コロナ禍での不動産投資として参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

コロナの影響で今後の不動産業界はどう変わるのか

まだまだ先が見えない新型コロナウイルス。現状ではコロナとともに、企業または個人としても対策をとりながら前に進んでいかざるを得ない状況です。不動産の業界では停滞する需要を回復へと向かわせる対策はあるのでしょうか。

コロナの影響はいつまで続くの?

コロナ終息の見通しは立たないにしても、不動産の業界が受ける影響は一時的にとどまり、それほど長引かないのではとの予測がされています。

その根拠には、不動産は生活の基盤となる部分なので、一時的な需要の落ち込みはあるにせよ、回復の見込みはあるという考えのようです。

しかしながらコロナが長引けば長引くほど、状況は厳しくなってくるという見方もされています。

コロナで変わりつつある住宅選びのポイントとは

1年以上のウィズコロナ生活を経験する中で、コロナが終息すれば以前のような住宅環境やライフスタイルに戻るという考え方も変わりつつあり、既に新しい生活様式や住宅の考え方へと変化が見られ始めています。

例えば、家の中の換気設備、帰宅時にすぐに除菌ができるような工夫、非接触型の住宅設備、さらにはリモートでの仕事や学習、お家で快適に過ごせる空間づくりなど、コロナ禍で学んだことが反映された住宅の提案が急速に進んでいます。

また「おうち時間」が増えたコロナ禍では、DIYや自分でリノベーションをする人が一気に増加しました。そこで注目なのが空き家物件の需要増という見方もあります。

今後の住宅選びは、多様化する物件の中から、それぞれの家族構成や立場で、生活する上で何を求めるかを明確にしながら物件選びもすることが大事になるのかもしれません。

 

不動産業界が取り組むコロナ対策とは

今後コロナが終息に向かったとしても、コロナ禍の今、業務を円滑に進めるためにはしっかりとしたコロナ対策が必要になってきます。不動産の業界では主に次のような取り組みがされているようです。

  • 店頭窓口での顧客応対にはアクリル板を設置する。
  • 対面での顧客対応だけでなく、オンラインを利用する
  • 物件の内見はリモートで紹介する。
  • 従業員はテレワーク・在宅勤務を推奨し、他の従業員とは情報共有がしっかりとできるしシステム作りを行う。

私たちが生活するうえで「住居」はたとえコロナ禍であっても優先順位が高い不可欠なものです。それを提供する側での対策が適切にされているかどうかは、利用する人たちとっても大きなポイントとなってきます。

経営を存続させるためにも、これからの時代はどのような変化に適応できる柔軟な対応力が必要といえそうです。

今後予測される住宅業界全体に及ぼす影響と見通し

コロナで住宅業界に大きく影響したことの一つには、自粛生活や在宅勤務で、家で過ごす時間が圧倒的に増えたことにより、住宅に対する考え方が変化してきたことがあります。一時的な需要の落ち込みも短期的には回復し、コロナ対策を意識した新たな生活様式に合った住宅の需要が見込まれるとの予測もされているようです。

長期的には、人口減少や高齢化が進む中で、住宅の需要そのものは減少しても、生活の基盤となる「住宅」は、時代に合った快適な空間であることが大切なことと言えるかもしれません。

 

まとめ

新型コロナウイルスの影響により不動産市場の低迷が懸念されるところですが、影響は一時的との見方もあり、需要は回復してくるものと予測されています。ただしコロナが長引くと回復にも時間がかかり、その前に対策を講じる必要がありそうです。

すでに一部ではウィズコロナを意識した、新しい発想の住宅を提案や、接客方法がリモートになっても、より一層リアリティ感をもたせるようにVRを駆使した物件の紹介など、急速な対応も見られます。

人々の生活様式が何かをきっかけに変化するのに応じて、そこに必要不可欠な「住」の空間も変化と進化をし続けていくことが求められていることなのかもしれません。