不動産の売買契約はドタキャンできる?気を付けるポイントや違約金について解説

  • 記事公開日:2022/05/11
不動産 売買契約 ドタキャン

不動産の購入や売却を検討する際に、なんらかの事情によってキャンセルしたいと考える方がいます。
しかし既に不動産の購入や売却を申し込んでしまったため、ドタキャンできるのか不安になる方は少なくありません。
この記事では、不動産の売却・購入を途中でドタキャンできるかについて解説していきます。
またキャンセルする際に気をつけることや違約金の相場も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

不動産の売却・購入の途中でもドタキャンすることが可能?

不動産の売却・購入の途中でもキャンセルすることができるのでしょうか。
ここでは、売却・購入の途中でもキャンセルできるのか解説していきます。

不動産の売買契約前・契約後でもキャンセルできるの?

基本的に不動産の売却・購入の契約は、途中でもキャンセルすることが可能です。
例えば、新築マンションの購入を申し込んでいる場合でも、申し込みをキャンセルすることができます。
ちなみに不動産の売買契約前・契約後でもキャンセルすることができます。
ですので、契約直前にドタキャンすることも不可能ではありません。
しかし、契約後のキャンセルには様々な条件が出てくる可能性があります。
そのため、不動産の売却・購入のキャンセルは、タイミングがとても重要です。

違約金が発生するタイミングとは?

不動産売買契約後にドタキャンする場合は、違約金が発生するので注意が必要です。
不動産の売却・購入の手続きを進める際に、不動産売買契約を結ぶことになります。
不動産売買契約は売り主が所有する不動産を買主に移転することを約束し、その代わりに買主が代金を支払うことを約束する契約です。
不動産売買契約を交わすことで、不動産の移転の手続きや準備が開始されていきます。
つまり不動産売買契約後のキャンセルは、手続きや準備にかかる費用及び手間が発生してしまうのです。
そのため不動産売買契約後のキャンセルは、違約金や損害賠償金を請求されるケースがあるので注意が必要です。
一方で不動産売買契約前であれば、違約金や損害賠償金を請求されることなくキャンセルすることもできます。
たとえ「不動産購入申込書」を記入していても、法的拘束力はないためドタキャンすることが可能です。
また申し込みの際に申込金を支払っている場合は、申込金を返金してもらうことができます。

不動産の売却・購入の途中でキャンセルする際に気をつけなければいけないこと

不動産の売却・購入の途中でキャンセルする際は、いくつか気をつけなければならないことがあります。
以下に、気をつけるべき注意点を4つ挙げてみました。

注意点①売買契約後のキャンセルは手付金を放棄する必要がある

先ほどもお伝えしましたが、売買契約後のキャンセルは手付金を放棄する必要があるので注意が必要です。
不動産契約時の際は、一般的に不動産の購入代金の一部として手付金を支払うことになります。
そのため買主は手付金を放棄することで、売買契約をキャンセルすることができます。
一方で売り主がキャンセルする場合は、受け取った手付金の倍額を支払うことで契約をキャンセルすることが可能です。
ただし手付金を支払えば、必ず売買契約後でもキャンセルできる、というわけではありません。
次の項目で、手付金放棄だけではキャンセルできないケースを詳しく説明致します。

注意点②手付金放棄だけではキャンセルできないケースがある

売買契約後のキャンセルは、手付金放棄だけでは済まない場合があるので注意が必要です。
例えば買主が引き渡しのための履行を進めている場合に、手付金放棄だけではキャンセルできずに違約金を支払う必要性があります。
引き渡しのための履行は、以下のケースが該当します。

  • 売主が引き渡しのための所有権移転登記の申請を行った
  • 売り主が建築材料の発注や工事を進めている

上記のケースが該当する場合は、さまざまな費用や手間が発生しています。
そのため手付金放棄だけでは済まずに、違約金を支払う必要があるのです。
違約金については不動産売買契約書に記載されていますので、契約の際はよく確認しておきましょう。
ちなみに手付金と違約金は別物になるため、両方発生することはありません。

注意点③違約金に加えて損害賠償を請求される可能性がある

不動産の売買契約をキャンセルする際は、違約金に加えて損害賠償を請求される恐れがあるので注意しましょう。
特に売買契約書のキャンセル項目は、よく確認する必要があります。
例えば一般的な不動産会社は、売買契約書に契約違反があった際は「損害賠償額の予定」として定めています。
「損害賠償額の予定」とは、生じた損害額が約束した違約金よりも高い場合や低い場合でも差額を請求できない条件となります。
そのため、約束した違約金よりも高額な費用の請求をされる心配はありません。
しかし売買契約書に、「違約罰」の記載がある場合は注意が必要です。
「違約罰」とは約束した違約金に加えて生じた損害額も請求できる条件となります。
つまり、違約金以上の費用を請求される可能性が出てしまうのです。売買契約書を締結する際は、キャンセル項目を確認して「違約罰」の記載がないか必ずチェックしましょう。

注意点④メールでもキャンセルの申し込みができる

不動産の売却・購入の途中でキャンセルする際に、直接会って話さなければならないと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかしお世話になった方にキャンセルを伝えるとなると、なかなか合って告げるのが難しいと悩む方も少なくありません。
直接会って話すのが難しい方は、メールで申し込むことがおすすめです。
不動産の売却・購入の途中であれば、メールでもキャンセルの申し込みを行うことができます。
またメールであればわざわざ出向く手間や時間を掛けずに済むので、素早くキャンセルの連絡ができます。

不動産の売却・購入の途中でキャンセルする際の違約金の有無や相場

不動産売買をキャンセルする際は、違約金が発生するケースがあります。
ちなみに、違約金がどの程度かかるのか気になりますよね。
以下では、違約金の有無や相場を紹介していきます。

不動産売買のキャンセルにかかる違約金の相場は売買価格の10%~20%

不動産の売却・購入の途中でキャンセルする場合は、違約金は発生しません。
ただし売買契約後のキャンセルは、違約金が発生するケースがあります。
そこで違約金がどの程度請求されるのか心配になる方もいらっしゃるでしょう。
不動産売買による違約金は、売買価格の10%~20%が相場です。
例えば不動産の価格が2,000万円の場合に、200万円~400万円が違約金となります。
ちなみに手付金を支払っている場合は、手付金を引いた価格が違約金となります。

売り主が不動産会社の場合は違約金が売買価格の20%が上限となる

また売り主が不動産会社である場合は、宅地建物取引業法によって違約金の上限が20%として定められています。
仮に20%以上の違約金が記載されている場合でも、超過部分は無効となるため支払う義務はありません。
不動産の売買・購入の契約は、ほとんどのケースで違約金や損害賠償の予定がされています。
後々トラブルにならないよう違約金の価格についてもよく確認しましょう。
違約金の費用については、不動産売買契約書から確認できます。

不動産売買の契約を解除する際に生じるデメリット

不動産の売却・購入の途中でキャンセルすることは可能ですが、不動産会社に迷惑をかけてしまいます。
ここでは、不動産売買の契約を解除する際に生じるデメリットについて紹介しましょう。

デメリット①不動産会社に迷惑をかけてしまう

不動産の売却・購入の途中でキャンセルすることは、不動産会社に迷惑をかけてしまいます。不動産会社は、不動産売買の話や広告の取り下げなどさまざまな手続きを行っていた可能性があります。
当然キャンセルすること自体に問題はありませんが、迷惑をかけてしまったことも考えられるため一度お詫びした方がよいでしょう。できる限りキャンセルしないためにも、契約前に、不動産の内容が自分たちの希望に合った物件であるのかどうかは慎重に検討することが大切です。

デメリット②再申し込みの際に断られる場合がある

一度不動産の売却・購入の途中でキャンセルしてしまうと、再申し込みの際に断られる可能性があります。
当然不動産売買の契約をキャンセルされてしまうと、不動産会社に不利益が発生してしまいます。
不動産会社も手間や時間を掛けずに契約を取りたいわけですから、キャンセルしてしまう可能性のあるお客様については今後の対応が難しくなってしまうのです。
ちなみに不動産会社によっては、キャンセルする場合にブラックリストに記載すると説明されるケースがあります。
しかしクレジットカードのブラックリストのようなものではないため、そこまで気にする心配はないと考えられます。
同じ不動産会社に断られても、他の不動産会社まで影響は及ばないでしょう。

まとめ

不動産の売却・購入において、契約前であれば違約金無しでキャンセルすることができます。
しかし不動産売買契約後にキャンセルする場合は、手付金を放棄する必要があります。
また引き渡しのための履行を進めている場合は、手付金の放棄だけでは済まずに違約金が発生する可能性が出てきてしまいます。
違約金は売買価格の10%~20%となっているため、かなり負担は大きく痛い出費となってしまうでしょう。
違約金が発生しないためにも、万が一ドタキャンする場合には、売買契約前にすることが大切です。
しかし、キャンセルすることで不動産会社に迷惑をかけてしまったり、今後の契約にも支障が出てしまったりしてしまいます。
できる限りドタキャンしないためにも、物件選びはしっかりと慎重に行いましょう。