賃貸物件へ入居する際に不動産会社を利用した場合は、通常仲介手数料が発生し、それ以外に様々な諸経費を支払わなければいけません。
家賃の金額だけに気を取られて物件探しをすると、諸経費を用意できなくなってせっかく見つけた好物件に住めなくなったり、新生活のスタート時から大きな借金を抱えることにもなってしまうので、そうならないためにも、ここでは賃貸契約をする際に必要になるすべての諸費用を紹介します。
仲介手数料の相場
仲介手数料は、仲介業者である不動産会社が、入居者と大家さんをつなげるために行う業務に対して支払われる報酬です。
賃貸の仲介以外にも、不動産会社は土地や建物などの売買を行い、多額の利益を得ている会社もありますが、高額な不動産の取引はそう簡単にまとまるものではなく、よほどの大手でない限りは、一つの会社に頻繁においしい儲け話が舞い込んでくるわけではないので、物件数が多い分利益を得やすい賃貸物件の取り扱いを、積極的に行っている不動産会社が多いのが現実です。
仲介手数料は、宅地建物取引業法で「借主と貸主から合計して賃料の1カ月以内」と定められていることから、その上限は家賃の1ヶ月分となっていて、一般的な相場は家賃の0.5~1ヶ月となっています。
家賃別の仲介手数料
家賃 | 仲介手数料が0.5ヶ月の場合 | 仲介手数料が1ヶ月の場合 |
---|---|---|
5万円 | 27,500円 | 55,000円 |
10万円 | 55,000円 | 110,000円 |
15万円 | 82,500円 | 165,000円 |
20万円 | 110,000円 | 220,000円 |
25万円 | 137,500円 | 275,000円 |
30万円 | 165,000円 | 330,000円 |
仲介手数料が安くなることも
前記した通りに、仲介手数料は借主ある入居者ではなく、貸主である大家さんからもらうこともできますので、大家さんがどうしても早く空き部屋に人を入れたいときなどは、入居者の仲介手数料が無料になるケースもありますし、仲介手数料が半額になる場合も、同様の理由から大抵は大家さんが仲介手数料を半分負担しています。
つまり不動産会社は、ほとんど場合報酬である仲介手数料を法律で定められた上限で受け取っていて、入居者が仲介手数料を上限よりも低く支払うことができる場合は、大家さんがその分を負担しているのです。
それだけ賃貸物件で空き部屋をつくることは、物件の所有者にとっては大きなリスクとなり、それを回避するために仲介手数料を無料にすることは、とても効果的な戦略なのです。
仲介手数料以外の初期費用
賃貸物件を借りるときに仲介手数料がかかることは知らなくても、敷金・礼金という言葉を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?ここでは、それらを含めて、賃貸契約を交わす際に必要になる初期費用について、詳しく解説していきます。
敷金・礼金
部屋を借りた後で、入居者側の不注意などにより、床や壁や設備など、いろいろな箇所に傷などのダメージを与えてしまうことが考えられます。こうなることは、部屋の持ち主である大屋さんにとっては大きなリスクで、それを回避するために保証金という意味合いで預かるのが敷金です。
長く部屋に住んでいれば部屋全体が古くなりますが、経年劣化に対しての保証を入居者側がする必要はなく、部屋の中に何もダメージを与えなければ、敷金は退去時に戻ってきます。
敷金の相場は家賃の1~2ヶ月分で、仮にその金額で間に合わないくらいの損傷を与えた場合には、敷金に加えて不足分の修繕費を請求されることになります。
礼金の相場は家賃の1ヶ月分となっていますが、敷金とは違って退去時に入居者へ戻されることはありません。
習慣的に、大家さんへ「これからよろしくお願いします」という意味合いで支払われるものなので、仲介手数料と同じように、どうしても早く空き室を埋めたい物件などでは、最初から礼金ナシの物件もありますし、敷金とは違い、交渉次第で値引きできる可能性も高くなっています。
前家賃
前家賃とは、その名の通りに入居時に前払いする家賃のことです。民法614条には、「建物の賃料は毎月の末日に支払うこと」と表記されていますが、大家さんや物件を管理している不動産会社などが、家賃の回収率を高めるために、ほとんどの賃貸契約書には「賃料は前月の末日までに支払う」という文面が記載されています。
月の途中でアパートやマンションに入居される方も多いですが、その場合は前家賃とその月の分の家賃を日割りで計算して、その合計額を契約時に支払うことになります。
例えば、4月16日から入居する場合は、その月に15日部屋を借りることになりますので、仮に家賃が10万円であるとして、前家賃が10万円に、15日分の家賃が5万円になるので、合計で15万円を納めることになります。
もちろん、前家賃で支払った分は、退去するときは最終月の分として充ててもらえますし、月の途中で退去する場合は、その分を返金してもらえるので心配は無用です。
保証料
以前は、アパートやマンションの部屋を借りる際には、万一のことを考えて「連帯保証人」をつけるのが一般的でしたが、現在はその代わりに保証会社を利用するケースが増えています。
中には保証会社を利用できない物件もありますが、逆に保証人を自分で用意したくても、それを断られる場合が多くなっていて、強制的に保証料が発生することになります。
気になる保証料の金額は、保証会社によっても異なりますが、相場は家賃の50~100%となっています。
火災保険料
加入する保険の種類によっても異なりますが、アパートやマンションに入居する際に加入する火災保険には、「家財保険」と「借家人賠償責任保険」があって、家具や家電などを保証するのが家財保険で、火災などによって損傷した部屋を原状回復するための保証が、借家人賠償責任保険です。
火災保険料は、物件によっても異なり、一人暮らしよりもファミリー世帯の方が保険料は高くなります。相場としては、一人暮らしで1万5千円程度、2~3人のファミリー世帯で2万円程度です。
その他
必ず必要になるものではありませんが、入居時に鍵の交換費用やクリーニング代が発生することもあります。
金額としてはそれぞれ1~3万円程度なので、それほど大きな負担にはなりませんが、鍵の交換に関しては、強制されない場合でも、前の住人が合鍵をつくっていることなども考えられるので、万一のことを考えれば、交換することに応じた方が安心して新生活を送れることになるでしょう。
このように、賃貸物件を借りる際には様々な諸経費がかかりますが、仲介手数料を加えると、家賃の半年分以上になるケースも多くみられます。さらにこれに引越し代などの費用もかかりますので、仲介手数料などの抑えられる費用は極力少なくしたいものです。
まとめ
アパートやマンションなど賃貸物件の契約を結ぶときには、一般的に0.5~1ヶ月分の仲介手数料を、仲介業者である不動産会社へ支払わなければいけません。
仲介手数料は、入居事情などによって半額や無料なるケースもありますが、賃貸借契約時には前家賃や敷金・礼金など、その他にもいろいろな諸経費を支払わなければいけません。
さらに、新しい生活をはじめるためには家具や家電など多くの家財道具や、遠方へ移り住む場合は多額の引越し代もかかりますので、仲介手数料や家賃の金額だけにこだわるのではなく、諸費用やその他にかかるすべての費用をトータルで計算して、不動産会社にも相談をしながら物件探しを進めましょう。