なぜ東京に仲介手数料無料の不動産屋は沢山あるのか

  • 記事公開日:2018/03/16
  • 最終更新日:2020/01/30

不動産取引ではこれまで必須とされてきた仲介手数料。しかしながら、ここ最近は東京などの大都市圏で仲介手数料の無料化に踏み切る不動産業者が主流になりつつあります。仲介手数料がゼロになれば不動産のトータル価格もその分安くなるため、ユーザーにとっては大きなプラスといえます。

仲介手数料を無料にできる仕組みや契約時のチェックポイントについてまとめましたので、不動産取引に携わっている方はぜひとも参考になさってください。

仲介手数料を無料にしているところは増えている?

不動産業界全体で見ると、東京だけでなく、仲介手数料を無料化している業者は多数存在します。不動産取引において仲介手数料がゼロになるのはユーザーとしてもありがたいかぎりですが、「無料」というキーワードに安易にとびつく前に、まずはなぜ仲介手数料を無料にすることができるのか、その基本的な仕組みについて把握しておく必要があります。

手数料がかからないということは、その背景には必ず無料化を実現する仕組みがあり、その部分に気づかずに、ただそれが不動産業者の厚意によって成り立っているように錯覚してしまうと、いつの間にか損をしてしまいかねません。

基本的に、手数料を無料にできるのは、売り手と買い手の両方から手数料を徴収する形式の取引に限られています。第一に、不動産を売買する人は、業者と売り手、買い手のパワーバランスを充分に把握しなければなりません。

上記の場合以外でも手数料が無料になるケースはありますが、周辺商材が限られていることが往々にしてあります。手数料の無料化そのものは決して違法ではありませんが、商材にバイアスがかかっている場合、実際の不動産管理の局面で情報が偏ってしまいますので、結果として損害を被る可能性があります。手数料無料化を掲げる不動産業者と長期的に取引をする場合はまず、無料化とそれ以外の条件がトレードオフの関係になっていないか、その選択は長期的に見てプラスかどうかを深く考えたうえで自分に合った不動産会社を選んでみましょう。

買い手の立場からは売り手のダイレクトには見えにくいので、実際に面談をする前に必ずネットのクチコミを調べ、公平な取引を行っているかをチェックすることが大切です。

価格競争が激化している

かつての日本では、土地や建物を所有していることそのものがひとつのステータスであり、不動産売買を行うのは全体から見ればごく一部のかぎられた職種の人たちにかぎられていました。

しかしながら、東京でも土地のデフレが進んだ現在では、土地や建物を所有することが特別なことではなくなり、幅広い職種の人たちが不動産売買に参入するようになりました。不動産という大きなパイがかぎられているなかで新規参入が増えるのですから、当然、不動産業者同士の価格競争はどんどん激しくなっていくことになります。

不動産取引の場合、土地の価格そのものを目に見えて引き下げることは不可能ですので、必然的に省略しやすい仲介手数料を割り引くことで他社との差別化をはかり、新規顧客の囲い込みをねらうことになります。

ただ、手数料を安くするからには不動産業者としてもべつのところで利潤をもとめなくてはなりませんので、手数料をほかの名目に置き換えて上乗せするか、取引にいろいろな付加条件を付けることで収支のバランスをとろうとします。

手数料無料化の仕組みを把握しないうちから不動産業者と契約してしまうと、後々思わぬトラブルに巻き込まれることもないとは言えません。

良心的な業者であれば契約前の段階できちんと取引内容やトータルコストの内訳などを伝えてくれるはずですので、できれば複数の業者を比較したうえで、取引そのものがホワイトボックスになっている業者と契約するようにしましょう。

面談の段階で細かい疑問点をすべて納得のいくかたちで整理しておくこともまた、ユーザーとして当然の権利であり、大切な責務でもあります。やり取りを何度繰り返しても明確な返答が得られないような業者はグレーゾーンである可能性が高いため、契約はさけたほうが良いでしょう。

不動産屋は損をしない仕組みになっている

業者契約前に、不動産取引における仲介手数料無料の意味について理解しておきましょう。

仲介手数料は不動産業者にとって、取引における純粋な利益とも言えます。パーセンテージだけを見ると微々たるものだと感じるかもしれませんが、土地や建物の価格は非常に高く、それに応じて手数料も吊り上げられることになります。
手数料が無料の場合、ほとんどは買い手または売り手のどちらか一方は手数料を負担しています。そのため、不動産代理店の収益がゼロになることはありません。東京の不動産業者は、都会の不動産を積極的に売買しており、一部の手数料を無料にしても充分な利潤をあげることができるため、手数料無料のビジネスモデルが成立するのです。

これはもっとも単純な手数料無料化の仕組みですが、一部の業者はより複雑な仕組みによって無料化を実現しています。ただし、その場合は、手数料の名目のみが変更されている可能性があるため、契約の内容を注意深く確認し、取引に疑わしい点があればただちに業者に相談してください。

不動産売買のベースとなる周辺商材にも注意が必要です。通常は不動産業者から配布されるものですが、仲介手数料無料化を謳っている業者の中には信憑性に乏しい商材ばかりを紹介しているところがあります。

不動産仲介業者と管理会社との間には一種の協力関係のようなものが結ばれており、業者としては、特定の商材を取り扱うことによってもともと発生するはずの損失をカバーできる仕組みになっているのです。

この仕組み自体はある意味ではかなり合理的です。取引の情報源がクライアントにとって限定されてしまうというデメリットはありますが、少なくとも違法ではありません。

不動産を売買する際には周辺商材の意味と信頼性を慎重にチェックし、無料のキーワードだけを鵜呑みにしないようにしましょう。

まとめ

東京などの大都市圏では不動産売買の件数そのものが多いため、業者としても利潤があげやすく、手数料を無料にしたとしても損をしない仕組みが出来上がっています、無料というキーワードだけに乗せられると非常に危険ですので、契約にあたっては無料化の仕組みまできちんと把握したうえで、公正な売買のできる業者を選びましょう。