東京の戸建て購入事情をご紹介

  • 記事公開日:2018/05/18
  • 最終更新日:2020/01/30

広くてきれいな戸建ての住宅。狭いマンション住まいの人間からしてみると、住宅展示場などで見る家に憧れを抱いてしまいますよね。
今、東京ではそんな戸建ての市場が伸びに伸びています。
新築の物件もたくさんありますが、中古物件の売れ行きも好調です。
東京都内で新築ならば、1億円超えも珍しくない戸建て物件がこんなにも熱いのはどうしてでしょうか。
それは地価上昇に伴う、住宅の資産価値の上昇が原因の1つです。アベノミクスによる好況もそれを後押ししているのでしょう。

東京の戸建て事情

かつては東京にも、戸建ての家が多く存在しました。
第二次世界大戦後の高度成長期に、都内の人口は右肩上がりに増え、その結果、住むところが不足しました。
そのため、土地と住宅の値段は上昇し、個人でそれらを購入するのがだんだん困難になったのです。
そうしてできたのが、団地やマンションのような賃貸の集合住宅です。
老朽化して持ち主が手放さざるを得なくなった住宅が壊されて、その跡には多くのマンションが建てられたのです。

ですが、ここへ来て、また再び東京都内でも戸建ての建築ラッシュが始まっています。
安くて1億円なんていう景気のいい高級住宅も実際、少なくない東京の住宅事情です。中古の物件で探してもなかなかいいお値段で、おいそれと手も出せそうにありません。

ですが、近頃はパワービルダーと呼ばれる、2000万円から4000万円と比較的安価な戸建てを売り出している業者もあります。
住宅の廉価版とも言えるもので、デザインはほぼどの家も同じ、わかる人なら一目見ただけで、どこのメーカーの住宅か、わかってしまうものです。
町の中を歩いていたら、子供に「お父さん、あの家、うちにそっくり!」なんてこともあり得ます。
ですが、このパワービルダーの住宅、東京の都市部によくある狭小な土地にも対応しており、安価なこともあって需要の高まりを見せています。

それとは別に住む地域によって大きく地価が変わってくるということもあります。
都心部に近い港区、中央区、渋谷区などの土地は、1平米辺り100万円超であることが普通です。
しかし、墨田区や江東区、江戸川区など都東部の、いわゆる下町と言われている地域だとそれが20万から40万円あたりと比較的、安価で安定しています。

このように、土地の値段から家の価格、広さまで様々です。ただ高いローンを払ってまで、交通の便の悪いところに建つ狭い自宅に住むぐらいなら、賃貸のほうがマシという人もいるでしょう。
家を建てるというのはなかなか難しい選択だというのが、東京の戸建て事情の実情です。

自治体によって補助が違う

とにかく高額になる住宅の建築予算ですが、自治体によっては、申請すれば補助金が出ることもあります。
多少、手続きが煩雑でも高額な予算の助けになってくれるのならば、こんなにも心強いものはないですよね。
この補助金ですが、区市町村などの自治体によって少しずつ違います。

地方などでは少子化のため、過疎化が進んでいる地域が増えています。そんな過疎を防ぐために、子育て世帯を対象に住宅資金をサポートする制度を整備している地方自治体があります。

東京都でも、奥多摩町が子育て世帯への住宅支援を行っています。住宅を新築する家族に若者定住応援補助金が200万円支給されるのです。対象となるのは45歳以下の夫婦、あるいは50歳の人で中学生以下の子供がいる世帯、または35歳以下の単身者です。独身者でもサポートしてもらえるのがうれしいところですよね。これでその土地に若い人が増えてくれれば、地方自治体としてもウィンウィンの関係なのでしょう。

こうした新築の住宅のための補助は他の東京都内の自治体でもやっています。

例えば、千代田区やほかのいくつかの区でもやっているのが、屋上緑化助成というものです。一定の敷地面積以下の新築住宅の屋上に緑地を作れば、それに対して補助を出そうというものです。
屋上を緑化すると建物自体の断熱性が上がり、省エネにもなります。また景観の向上にもつながるなどの効果もあって、行政がバックアップしているのです。

また太陽光発電システムを設置したり、三世代住宅の建設などにも、助成の出る区があります。

ただし、こうした行政の制度は若い人ほど知らないものです。若い人を対象にしているにも関わらず、その世代の人たちは市の広報を目にする機会が極端に少ないことが、理由かもしれません。特に東京に住んでいると、他のエリアへと働きに出てくることが多くなり、地元の行政サービスを知る機会が極端に少なくなります。
もし、新築のご予定が立ったなら、あなたの地元にどんなサービスがあるのか、それを1度チェックすることをおすすめします。
せっかく住んで、税金を払っているのだから、損をしないように使える行政のサービスはどんどんと使っていきたいものです。

おススメのエリア

かつて、私は都内の某高級住宅街の近くに住んでおり、よくそのそばを通ることがありました。
確かに大きな豪邸がたくさん並んでいて、うらやましくなるようなお屋敷ばかりでしたが、住宅は多く見かけますがお店は少なく、簡素なイメージがありました。
買い物も、地下化した駅の上にあるスーパーくらいでしかできず、他はお洒落で小さなお店がいくばくか並んでいるだけでした。
このようにどんなにいい家に住んでいても、周りに買い物ひとつできるところがない、子供を遊ばせるところがないでは、がっかりですよね。

今も昔も、戸建てを建てるなら、世田谷区というのが鉄板のおススメエリアです。
場所柄少々、お高いところもありますが、交通の便や環境、治安的には、抜群に安心のエリアです。
成城や奥沢、二子玉川などのハイソな町から、三軒茶屋、下北沢あたりの庶民的な町まで、あなたのニーズにあった住まいが探せます。
鉄道も、東急線や小田急、京王線などの私鉄の路線が縦横無尽に張り巡らされており、少し歩けばほどなくして、いずれかの駅が利用できる環境です。
駒沢公園や砧公園、多摩川河川敷など、遊べる緑地が多いのも嬉しいですね。

山手線内側にありながら、ビルよりも閑静な住宅の多いのが特徴なのは、文京区です。
文京の名前の由縁にもなっているように、大学などが集まる文教地区で、意外と穴場の安い物件などもあります。
安田講堂や赤門などで有名な東京大学の本郷キャンパスもここにありますね。
少し歩けば、上野にも出られます。環境的には申し分ありません。
ただし、住民が定着しきっているエリアでもあり、新築物件の供給量もやや少なめです。

台場や豊洲といった湾岸エリアから、総武線沿線の亀戸や木場まで、南北で町の雰囲気がまるで違い、ニーズも違うであろう江東区。
湾岸エリアは新築のタワーマンションが人気ですが、亀戸や京王線の西大島、東西線の走る南砂あたりでは戸建の2000万から6000万円くらいの比較的安い新築戸建てが続々と建てられています。
都内にしては物価も安く、公園などの緑地が多いのも魅力です。
都内でもやや治安の悪いと言われる場所ではありますが、特に深夜に出歩くこともなければ、問題ありません。

まとめ

東京の住宅購入事情、いかがでしたでしょうか。
2020年のオリンピックを前に、都内の不動産価値が高騰しています。それに合わせて、戸建て物件の値段も上がりつつあります。
そのため、もともと高めの都内の物件が、さらに高くなっている傾向にあります。多くの人は23区外や辺縁の他県に家を求めがちです。
ですが、都内に強い憧れのある人も決して少なくないでしょう。
無理のないよう、しかし、後悔のないように物件選びはしたいものです。
時間をかけて、じっくり探せば、お手頃の住まいに出会えるのではないでしょうか。