仲介手数料無料にデメリットはある?無料の仕組みや注意点を解説

  • 記事公開日:2022/07/01
  • 最終更新日:2022/07/15
仲介手数料無料 デメリット

不動産の売買において仲介手数料無料の会社への依頼を検討している方も多いのではないでしょうか。
不動産売買の諸費用において仲介手数料は大きな割合を占めるため、仲介手数料無料の会社に依頼することで、多くの費用を抑えられるメリットがあります。
一方で、仲介手数料無料にはデメリットもあるため注意しなければいけません。
そこで本記事では仲介手数料無料の仕組みやデメリット、注意点について解説します。

仲介手数料とは

仲介手数料とは不動産の売買契約が成立した際に、不動産仲介会社に支払う報酬です。
仲介手数料のなかには以下のような費用があると考えましょう。

  • 広告費用
  • 物件の案内費用
  • 書類の作成費用
  • 物件の調査費用
  • 売主、買主との交渉費用

不動産は仲介会社を通して売買するのが一般的ですが、仲介会社を通さずに個人間で取引することも可能です。
しかし、不動産取引は価格が大きいことに加え、専門知識が必要になるため、不動産のプロに依頼した方が安心して取引できるでしょう。
なお、仲介手数料は成功報酬であるため、売却の依頼や購入の相談時には発生しません。
あくまでも、売買契約が成立した際に支払う費用です。

仲介手数料の計算方法

仲介手数料の計算方法(上限)は以下のとおりです。
売買価格×3%+6万円+消費税

上記を踏まえた上で、例えば3,000万円の不動産を購入したとしましょう。
その場合の仲介手数料の金額は下記のとおりになります。
3,000万円×3%+6万円+消費税(10%)=1,056,000円

なお「売買価格×3%+6万円+消費税」の計算式は、あくまでも速算式です。
本来は不動産の価格によって計算式が異なります。

  • 売買価格200万円以下の場合:売買価格×5%+消費税
  • 売買価格200万円超え400万円以下の場合:売買価格×4%+消費税
  • 売買価格400万円超えの場合:売買価格×3%+消費税

しかし、小分けにして計算するのは煩雑であるため、一般的に「売買価格×3%+6万円+消費税」を用います。
また「売買価格×3%+6万円+消費税」は仲介手数料の上限です。
つまり、不動産会社の了承が得られれば、仲介手数料を「売買価格×3%+6万円+消費税」未満に抑えられます。

仲介手数料が無料になる仕組み

仲介手数料が無料になる仕組みは以下のとおりです。

  1. 不動産会社との直接取引
  2. 売主または買主の片方からしか仲介手数料を受領しない

それぞれについて解説します。

①不動産会社との直接取引

不動産会社と直接取引をする場合は仲介手数料がかかりません。
なぜなら、売主と買主の間に仲介会社が入らないためです。
具体的には以下のような取引が直接取引に該当します。

  • 新築マンションをディベロッパーから購入する
  • 新築戸建てをハウスメーカーから購入する
  • 不動産会社売主のリノベーション済み物件を購入する

なお、売主が不動産会社であったとしても、仲介会社を通して購入する場合は、仲介手数料がかかる可能性が高いです。
プロと個人の直接取引は危険もあるため、仲介会社が間に入ることで取引の安全性が保たれます。
しかし「そもそも仲介会社を通さずに購入できることを知らずに契約していた」というケースも多いため、仲介会社を通さずに購入できる場合があることを頭の片隅に入れておきましょう。

②売主または買主の片方からしか仲介手数料を受領しない

不動産会社が売主または買主の片方からしか仲介手数料を受領しない場合、仲介手数料が無料になる可能性があります。
まずは、仲介手数料の受領の仕組みを押さえましょう。
不動産会社から見た不動産取引は「両手取引」と「片手取引」の2通りに分けられます。

両手取引 売主・買主双方から仲介手数料を受領する取引
片手取引 売主または買主の片方から仲介手数料を受領する取引

たとえば、不動産の売却依頼を受けたA社がいたとしましょう。
A社が自社で買主を見つけて取引に至れば、A社は売主と買主のどちらの仲介も行っているため、双方から仲介手数料を受領できます。
一方で、A社から売却に出ている物件を不動産会社B社の買主が購入する場合、A社は売主から、B社は買主からしか仲介手数料を受領できません。
このように同じ取引であっても仲介手数料の金額は最大で2倍の差がでます。
片手取引の場合は仲介手数料を受領しなければ、不動産会社は利益を得られません。
しかし、両手取引の場合は片方の仲介手数料を無料にしたとしても利益を得られるのです。
不動産会社によっては両手取引の場合のみ、売主・買主どちらかの仲介手数料を割引く、もしくは無料にするといった形で柔軟に対応しています。

仲介手数料無料のデメリット

仲介手数料が無料になるのは費用を抑えられるため嬉しいことですが、何かデメリットがあるのではないかと不安な方も多いでしょう。
ここからは仲介手数料無料のデメリットについて、買主と売主それぞれの立場から解説します。

①買主のデメリット

仲介手数料無料の場合に想定される買主のデメリットは以下のとおりです。

  • 購入できる物件が限られている
  • 物件価格に上乗せされている可能性がある
  • サービスの質が良くない会社も多い

それぞれのデメリットについて解説します。

購入できる物件が限られる

仲介手数料無料の不動産会社で物件を購入する場合、購入できる物件は限られると考えましょう。
先述の通り、買主の仲介手数料が無料になるということは、不動産会社は売主から仲介手数料を受領しているということです。
つまり、その不動産会社が直接売却依頼を受けている物件を購入する場合にしか、仲介手数料は無料になりません。
不動産会社は不動産流通機構が運営するレインズというサイトを経由して、売却物件の情報を共有し、互いに購入検討者へ紹介し合っています。
そのため幅広い選択肢のなかから物件を比較検討できます。
しかし、相談先の不動産会社が直接売却依頼を受けている物件からしか選べない場合、必然的に選択肢は限られてしまうでしょう。
仲介手数料が無料になることで、購入時の費用を抑えられますが、希望の物件を購入できない可能性があることは覚えておく必要があります。

物件価格に上乗せされている可能性がある

仲介手数料が無料になることで「諸費用を抑えられる」と感じますが、なかには仲介手数料分の金額が物件価格に上乗せされている可能性があります。
特に不動産会社が売主物件である新築物件やリノベーション済み物件などは、物件価格に上乗せされている傾向にあります。
もちろんのことながら、新築物件やリノベーション済み物件は「新築」や「リノベーション済み」といった付加価値が付くため、比較対象がなく物件の適正な価値を判断するのは難しいです。
そのため、必ずしも仲介手数料分の金額が上乗せされているとは言えませんが、いわゆる相場よりも高めに価格設定されているケースが多いです。
「仲介手数料が無料だからお得」という発想にならないようにしましょう。

サービスの質が良くない会社も多い

仲介手数料無料のサービスを行う不動産会社のなかには、サービスの質が良くない会社も多いです。
もちろん仲介手数料無料のサービスがある不動産会社すべてに該当することではありませんが、丁寧な接客や充実したサービスを提供するのが難しいため、値下げでしかほかの不動産会社と差別化できないような会社が混ざっている可能性もあります。
また、仲介手数料を下げることで、顧客1人あたりの単価は下がってしまいます。
そのため、不動産会社として収益を上げるためには、数をこなさなければならず、1人の顧客に対して注力できない状態に陥ることもあるでしょう。
このように、仲介手数料無料の不動産会社のなかには、サービスの質が良くない会社もあることを念頭に置きましょう。

②売主のデメリット

仲介手数料無料の場合に想定される売主のデメリットは以下のとおりです。

  • 囲い込みをされる可能性がある
  • 無料サービスを利用できない可能性がある

それぞれのデメリットについて解説します。

囲い込みをされる可能性がある

売主が仲介手数料無料の不動産会社に売却を依頼する場合、囲い込みをされる可能性があります。
囲い込みとは、売主から売却依頼を受けている不動産会社が、他社へ物件情報を渡さないことです。
不動産業界ではレインズというサイトを通して物件情報を共有していますが、そもそもレインズに物件情報を掲載しなかったり、掲載していたとしても他社から問い合わせがあった際に、何かしら言い訳をして内見を拒否したりする不動産会社が存在します。
もちろんのことながら、囲い込みは不動産業界で禁止されていますが、あの手この手で物件を囲い込んでいる不動産会社があるのです。
売主の仲介手数料を無料にするということは、不動産会社の立場からすると自社で買主を見つけなければ1円も報酬が入らないことを意味します。
そのため、仲介手数料無料の不動産会社に依頼すると、囲い込みが発生する恐れがあります。

無料サービスを利用できない可能性がある

仲介手数料無料の不動産会社の場合、売却に関する無料サービスを利用できない可能性があります。
不動産会社のなかには、売却物件を魅力的にするために以下のようなサービスを無料で提供している会社もあります。

  • 壁や床の補修
  • プロカメラマンによる写真撮影
  • モデルルームのような家具の設置

しかし、このようなサービスを無料で提供できるのは、仲介手数料を受領できるのが前提にあるためです。
そのため、仲介手数料を割り引いたり、無料にしたりする場合、無料サービスが利用できない可能性があります。

仲介手数料無料のメリット

仲介手数料無料のメリットは以下のとおりです。

  • 費用を抑えられる
  • 買主はローン審査に通りやすくなる

それぞれについて解説します。

①費用を抑えられる

仲介手数料が無料になることで、不動産売買の費用を抑えられます。
不動産の売買でかかる主な費用は以下のとおりです。

売主の場合

  • 仲介手数料
  • 印紙代
  • 抵当権抹消費用
  • 住宅ローン一括返済手数料
  • 譲渡所得税(利益が出た場合のみ)

買主の場合

  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 住宅ローン手数料、保証料
  • 火災保険料

不動産の売買では、上記のようにさまざまな費用がかかりますが、そのなかでも仲介手数料は多くの割合を占めます。
とくに売主の場合は、印紙代、抵当権抹消費用、住宅ローン一括返済手数料はそれぞれ数万円であるため、仲介手数料が諸費用のほとんどを占めます。
このように仲介手数料が無料になることで、多くの費用を抑えられることがわかります。

②買主はローン審査に通りやすくなる

仲介手数料が無料になることで、買主はローン審査に通りやすくなります。
ローンを組む際には年収に占めるローン返済の割合(返済比率)をチェックされます。
金融機関によって考え方は異なりますが、目安になる返済比率は30%程度と考えましょう(年収400万円の方であれば、年間返済額120万円)。
そのため、現在検討している借入額が返済比率ギリギリの場合、仲介手数料分の金額を減らすことで、ローン審査に通りやすくなります。
このように、仲介手数料が無料になることで売主・買主ともにメリットがあります。
しかし、どの不動産会社に相談するべきかわからない方も多いでしょう。
そのような方におすすめの不動産を紹介しておりますので下記記事をご覧ください。

株式会社リアルの特徴!仲介手数料や会社の評判は?

仲介手数料無料の不動産会社に依頼する際の注意点

仲介手数料無料の不動産会社に依頼する際の注意点は以下のとおりです。

  • 価格以外の優先順位を明確にする
  • 複数の不動産会社を比較検討する

それぞれについて解説します。

①価格以外の優先順位を明確にする

仲介手数料無料の不動産会社に依頼するべきかどうかは、価格以外の優先順位を明確にしてから判断しましょう。
先述の通り、仲介手数料無料の会社のなかには、購入できる物件が限られたり、無料サービスが利用できなかったりするケースがあります。
そのため、購入物件の選択肢の多さを重視する場合や、なるべく短期間での売却を重視する場合は、仲介手数料無料の不動産会社に依頼しない方がいいケースもあります。
もちろん、優先順位の1位が価格であれば問題ありません。適切な判断をするためにも、まずは優先順位を明確にしましょう。

②複数の不動産会社を比較検討する

仲介手数料無料の不動産会社に依頼する際には、複数の不動産会社を比較検討しましょう。
仲介手数料無料をアピールしている不動産会社のなかにも、さまざまな会社があります。
インターネットやSNSで口コミを検索したり、実際に問い合わせをしたりして、複数社を比較してみましょう。
不動産取引は担当者との相性も重要であるため、複数社に依頼することで、良い担当者に出会える機会も増えます。

まとめ

本記事では仲介手数料無料の仕組みやデメリット、注意点について解説しました。
仲介手数料無料の不動産会社に依頼することで費用は抑えられますが、デメリットもあります。

  • 購入できる物件が限られている
  • 物件価格に上乗せされている可能性がある
  • サービスの質が良くない会社も多い
  • 囲い込みをされる可能性がある
  • 無料サービスを利用できない可能性がある

売却理由によっては仲介手数料無料の不動産会社に依頼しない方がいいケースもあるため、まずは不動産取引における優先順位を明確にしましょう。
なお、デメリットを極力避けるためには、不動産会社を比較検討する必要があります。