家を売るときに仲介手数料のことを忘れてはいけない理由

  • 記事公開日:2017/09/21
  • 最終更新日:2020/01/30

売却を考えているなら、「家を売りたいけど、いくらで売れるんだろう」「できれば高値で売りたい」「なるべく早く売りたい」など、売主の希望があるものです。特に、赤字やマイナスになる取引を避けたいと思うことでしょう。家を売るときに、ローンが残っている場合は売却できるのでしょうか?また、スムーズに売却するためにはどうすればよいのでしょうか?家を売るときに知っておきたい、売買契約における注意点をお話しします。

ローンと同額で売却できたとしても赤字になってしまう

家やマンションを購入するときに、住宅ローンで契約している人が多いと思いますが、ローンを完済していない家やマンションでも、売却することができます。気になるのは、物件評価額ではないでしょうか?売却価格がローン残高よりも下回る可能性は少なくありません。物件の価値は日々変化しているためです。また、ローン残高のある家を売却する前に必要になのは、抵当権の抹消です。

抵当権は、住宅購入でローンを契約する際に、もしローンが支払えなくなったときのために金融機関が持つ権利です。金融機関が抵当権者となり、ローンが支払えないときは、物件を競売にかけることができます。抵当権を抹消するためには、ローン残高を支払うことです。一般的な売却方法では、売却価格で足りない分のローン残高を自己資金で補う方法があります。仮にローン残高と同額で売却できた場合でも、不動産会社へ仲介手数料を支払いますし、引越しや買い替え費用も掛かるため、自己資金がさらに必要となってしまい、結果的に赤字になるのです。家を売る人の自己資金が少なくても売却できる方法に、買い替えローンでローン残高を上乗せする方法もありますが、物件購入のタイミングを合わせるなど手間暇がかかることは避けられないでしょう。

また、自己資金がなくローンが払えない場合の売却方法に、任意売却があります。任意売却は抵当権に入ったままでも早期に売ることができる方法で、少額ずつローン残高を返していきます。最終手段ですので、ローン完済していない物件を売りたい際は、なるべく自己資金を調達してから売ることが望まれます。家やマンションを売りたいなら、まずは早めにおおまかな査定額を知っておくことをおすすめします。物件価格が安くならないうちに売ることや、売却価格を低めに考えて資金計画を立てることも大切です。

事前に知っておきたい売却時にかかる費用

物件の売却で必要な諸費用は多岐にわたります。事前に知っておくことで、家を売るスケジュールが立てられます。必要な資金を売却に向けて用意するようにしましょう。その中でも大きな費用は、やはり仲介手数料です。仲介手数料は、買主を見つけてくれたことに対する、不動産会社への成功報酬となります。家を売るために、不動産会社はさまざまな手続きを行わなければなりません。販売促進活動のための人件費や広告費も負担しているため、仲介手数料は不動産会社に動いてもらうための費用として必要になってきます。

また、売却手続きの際の売買契約書作成で必要になるのが印紙税です。取引金額に必要な収入印紙を購入しなくてはなりません。売主か買主が負担することになり、共同で作成した場合は連帯で負担します。契約金額に合った収入印紙を貼るように気を付けましょう。貼り直しは無効で、過不足がある場合は、税務局に届け出をしなければなりません。不足の場合は、過怠として3倍が課せられるため、細心の注意を払いましょう。また、不動産売買では抵当権の抹消が必要になるため、その際の登記手続きが必要になります。手続きを行う司法書士に支払う報酬は2万円ほどです。土地も含めて売却する際は、測量費用がかかり、隣の家との境界線や、登記に登録されている土地面積を確認する必要があります。

他には、土地売却のための更地にする費用、引越しする際の予算も視野に入れて家を売ることを考えるようにしましょう。不用品の整理や処分料金も細かい費用ですが、事前に見積もっておくことをおすすめします。住宅ローンの繰り上げ返済手数料や、売却で得た譲渡所得が大きい場合にかかる譲渡益もいくらかかるのか資金計画に入れておきましょう。

結局、仲介手数料は誰に支払う費用なのか

不動産会社へ支払う仲介手数料は、家を売る際に大きな割合を占めることがわかります。仲介手数料は、家を売るために、買主との間に入って仲介をサポートする不動産会社に支払いますが、売主と買主はそれぞれの不動産会社に支払うこととなります。別の不動産会社が売主と買主がそれぞれ契約している不動産会社の間に入っているケースもありますが、仲介手数料を支払うのは契約している不動産会社1社のみです。司法書士や金融機関との手続きもサポートしてくれるため、不動産売却に必要になる手続きを行う手数料といえるでしょう。

また、売買をサポートをしてもらった場合に必ず支払うのかどうかですが、それは媒介契約の種類によっても異なります。媒介契約は、一般・専任・専属専任と3種類の媒介契約に分かれています。成約した際に、仲介手数料が必要になるのは専属専任媒介契約です。買主との直接契約ができない契約のため、必ず不動産会社を通す売買を行います。また、専属専任と専任媒介契約では、他社への依頼ができないため、成約の際は不動産会社への仲介手数料を支払うことになるでしょう。これらは、売主への販売状況の報告義務もあるため、早期の売買が想定できる媒介契約です。これらに対して、一般媒介契約では、何社とでも媒介契約を交わすことができます。さらに個人で買主を見つけた場合は、仲介手数料を不動産会社に支払わなくてもよいのです。ただ、親族や近親者以外の第三者と個人間で不動産売買を行うことは、トラブルが起こるリスクもあります。

個人で多くの不動産会社と交渉を行うのは労力がかかる上に、売れ残ってしまうこともあるでしょう。非常に好条件の物件でない限り、物件の相場は下がっていくものです。不動産会社への依頼が、早期に売れる近道でしょう。買取を専門にしている不動産会社も存在するため、その場合は仲介手数料が不要です。ただ、売却価格が安くなることを想定しておきましょう。

まとめ

このように、家を売るにはさまざまな手続きが必要となります。売却を考え始めたら、自己資金でどんなスケジュールで売りたいのかを明確にすることが大切です。なるべく負担の少ない売却方法を検討したいものですね。仲介手数料の出費は大きいですが、早期にできるだけ高い価値で取引するためには、不動産会社のサポートを上手に利用する必要があるでしょう。事前に物件価値の査定を行い、スムーズな売却と引越しを行いましょう。