不動産売買で仲介手数料が無料になるわけ

  • 記事公開日:2021/05/27
  • 最終更新日:2021/11/01

仲介手数料は不動産売買の中でも大きな額を占める費用のひとつ。最近は、仲介手数料が無料となっている不動産仲介会社を目にすることが増えてきています。

意外と知られていない手数料無料の仕組みを解説するとともに、不動産会社を選ぶ上で考慮したいメリットやデメリットなどをご紹介していきます。マイホームの住み替えや譲り受けた持ち家の売却など、不動産売買を検討している方も必見です。

仲介手数料は不動産会社を選ぶ基準のひとつ?

不動産の売却や購入時にかかる仲介手数料。節約したい費用のひとつに含まれることがある仲介手数料とは一体どんなものなのかについて、まずは見ていきましょう。

そもそも仲介手数料とはどんな手数料?

不動産業界の代名詞的なイメージがある仲介手数料。不動産売買だけではなく、マンションやアパートなどの賃貸物件を紹介してもらうときにも登場する費用のひとつですよね。そもそも、不動産業界における仲介手数料は、不動産仲介会社への成功報酬とされるもの。

例えば、不動産の売却では、売却活動、売買契約のサポートなどに対して支払われるものという位置づけになります。また、仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が定められており、仲介手数料の上限は、不動産を売買する価格に左右されます。仲介手数料は、売買価格の3〜5%プラス6万円に消費税をかけたものが一般的となっています。

仲介手数料が無料の不動産仲介会社を利用するとき以外は、参考程度に覚えておくと安心かもしれません。

仲介手数料が無料になるメリット

最近、増えている仲介手数料が無料という不動産仲介会社。大手の不動産会社でも仲介手数料が無料の会社も登場していますが、仲介手数料が無料となる場合のメリットは、やはり、不動産の売却でも購入でも、初期費用がぐっと抑えられる点。例えば、1000万円の売買における仲介手数料は396,000円、3000万円の物件の売買では105,6000円となり、この分の費用が抑えられるとなると売買への考え方が大きく変わってきます。

抑えた分の費用は、引越し代金などの必須となる費用に回すこともできますし、よりグレードの高い不動産の購入資金に回せるというメリットも。また、仲介手数料という名前がついた成功報酬がなくてもきちんと不動産売買のサポートをしてくれる不動産仲介会社とは、信頼関係が築きやすいというメリットもあります。

仲介手数料が無料になるデメリット

逆に、仲介手数料が無料となる場合に考えられるデメリットとしてあげられるのは、次のような不安点です。不動産売買における仲介手数料が無料ということは、言い換えれば、不動産仲介会社が自ら利益を手放しているということです。

仲介手数料というかたちでは支払いを求めていなくても、物件の売買価格などの売買が成立した際に支払うことになる料金の中に、本来は仲介手数料となる分が含まれていることもあります。

また、不動産の売却活動や物件紹介などを積極的におこなってもらえないリスクもゼロではありません。悪質な場合は、仲介手数料という名前ではなく、別の名目で手数料の支払いが求められることもあるため、不動産仲介会社選びには注意が必要です。

 

不動産売買において仲介手数料が無料になる仕組み

不動産売買と密接に関わっている仲介手数料。仲介手数料がどのようなものかわかったところで、次は、不動産の売買の際に仲介手数料が無料になる理由について見ていきたいと思います。仲介手数料が無料になる仕組みを知って、仲介手数料が無料の不動産仲介会社を賢く利用しましょう。

仲介手数料が無料になる理由とは?

不動産売買の仲介をしているのにも関わらず仲介手数料を無料にしているということは、不動産仲介会社がその収益のひとつを何らかの理由で諦めているということです。

コンスタントに得られる収益がなければ不動産仲介会社そのものがビジネスとして成り立たなくなってしまいますので、仲介手数料が無料になっている背景には必ず理由があると考えるのが自然なかたちです。おもな理由としてあげられるのは次の2つなので、さっそく見ていきましょう。

実は買主または売主から仲介手数料を受け取っている

実は、意外と多い理由のひとつは、買主からは仲介手数料を受け取っていないけれど、売主からはきちんと受け取っているなど、売買取引のうちのどちらか一方のみ仲介手数料が無料となっていて、もう一方からはしっかりと受け取っているケースです。

会社としての収益が多少は下がってしまいますが、コンスタントに不動産売買が成立していれば、不動産仲介会社としては損になりません。

集客率アップを狙った戦略方法のひとつとしている

また、もうひとつの理由にあげられるのが、ビジネスに参入したばかりの不動産仲介会社や、新しい顧客を意欲的に開拓しようとしている不動産仲介会社などが、集客を狙って仲介手数料無料をうたっているケースです。

また、顧客獲得への競争が激しい不動産業界では、ほかの不動産仲介会社との差別化を図るために、仲介手数料無料を掲げているケースも多くあります。

短期間の集客率アップを視野に、期間限定で仲介手数料の無料キャンペーンをおこなっているところもありますので、不動産仲介会社を選ぶときのひとつの指標として、仲介手数料無料のところをチェックしておくのもおすすめです。

不動産会社を選ぶときの注意点と選び方

大きな金額の取引がおこなわれる不動産売買では、信頼のおける不動産会社を選ぶことを意識したいもの。不動産会社を選ぶときにポイントとなる項目や、不動産会社を選ぶときに気をつけてチェックしておきたい注意点などを見ていきましょう。

不動産売買では仲介手数料以外の諸費用もチェックしよう

不動産売買は、数百万円、数千万円という大きな金額が動くことになる取引です。その中で、仲介手数料が占める金額は確かに見逃せないものですが、不動産売買には、仲介手数料のほかにも、さまざまな種類の諸費用が発生します。

とくに、不動産の購入のための不動産仲介会社を選ぶときは、仲介手数料の有無だけにフォーカスするのではなく、総合的にかかる総費用を見て、予算を決めていくように心がけましょう。

不動産購入時にかかる諸費用の例

仲介手数料をのぞいて不動産を購入するときにかかるのは、手付金、売買契約書などの印紙税、住宅ローン手数料などのローンに関する費用、不動産登記に関する費用、火災保険などに関する費用、固定資産税や不動産取得税などの税金、引っ越し費用などです。マンションの場合は、修繕積立金なども必要になります。

不動産売却時にかかる諸費用の例

仲介手数料をのぞいて不動産を売却するときにかかる費用は、売買契約書などの印紙税、住宅ローン返済手数料、抵当権抹消などに関する費用、譲渡所得税や住民税などの税金、ハウスクリーニング費用、解体費用、引っ越し費用などで、不動産の売却では税金についてもしっかりと確認しましょう。

「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」などが受けられる場合もあるため、事前に国税庁のサイトやファイナンシャルプランナー経由でチェックしておくと安心です。

不動産会社の選び方

不動産売買では、信頼できる不動産会社に出会えるのかがどうかが、トラブルなくスムーズな売買取引ができるかにも関わってきます。不動産会社を選ぶときは、ネームバリューや口コミ評価だけではなく、実際に営業の方と接してみて感じた直感に従うのも大切なこと。

複数の会社に相談に訪れ、きめ細やかなサポートが受けられそうかどうかなども忘れずにチェックしましょう。

まとめ

手数料は安ければ安いほどよいということではありませんが、仲介手数料の占める割合が大きい不動産売買では、仲介手数料が無料や半額の不動産仲介会社を上手に利用するのがおすすめです。

しっかりと売買のサポートをしてくれる信頼できる不動産仲介会社を見つけることが重要になりますので、ぜひ、今回ご紹介したデメリットや注意点を参考にしていただければと思います。