仲介手数料無料でない場合にはどれくらいかかるの?

  • 記事公開日:2018/03/17
  • 最終更新日:2021/09/01

不動産取引の仲介手数料は、合理的に定められた計算式によって算出されています。計算式は基本的に全国共通なため、数式さえ把握していれば一般ユーザーでも簡単に手数料を計算し、トータルコストを見積もることができます。

ここでは、実際に使用されている計算式をもとに手数料の必要性や過払いをふせぐための注意点についてまとめました。大まかな数式の意味を把握しておくだけでも取引全体の流れが理解でき、疑問点の整理にも役立ちます。

 

基本的には計算式で算出できる

不動産取引にかかる仲介手数料は、以下のような計算式によってもとめられます。

売買価格200万円以下:5.4%
売買価格200万円~400万円:4.32%
売買価格400万円以上:3.24%

基本的には上記の計算式にもとづき、もともとの売買価格に応じて手数料がきめられています。この計算式は東京だけでなく、日本全国すべての地域で共通です。

ここで注意していただきたいのは、「手数料は売買価格の総額に対してかけられるものではない」ということです。仲介手数料の算出においては、売買価格の分割方式がとられます。

仮に1000万円の土地を取引したすると、手数料の計算式は「1000×3.24」とはなりません。まず、1000万円という総額をいくつかの単位に分け、

(1000-400)×3.24
(400-200)×4.32
(400-200)×4.32<br

という計算式になり、最終的な手数料は3.88万円となります。

分割方式で計算すると単純方式よりも手数料が高くなってしまうため、このあたりの仕組みを知らなければ事前の見積金額からオーバーしてしまったり、不動産業者への信頼を損ねてしまう恐れがあります。

正式な不動産取引では上記の計算式が使われますが、あまりに複雑で使い勝手が悪いということで、一般ユーザー向けにはより簡略化された計算式が公開されています。

「不動産価格×3%+6万円」

こちらが仲介手数料の簡易算定式です。この計算式であれば土地の価格にかかわらずパーセンテージが一定なため非常にわかりやすく、初心者でも初歩的な数学の知識があれば簡単に手数料を把握できるメリットがあります。なお、実際にはこの金額に消費税が加算されることになります。

大まかな手数料を把握しておくことで取引にかかるトータルコストを見積もることができ、契約後になって不動産業者と思わぬトラブルになることをふせぐことにもつながります。

 

企業努力で割引きに成功している場合もある

仲介手数料無料といっても実際には違う名目によって上乗せされていたり、さまざまな付帯条件が付けられていたりと純粋な意味での無料化に成功している業者は東京でもきわめて少ないのが現状です。

しかしながら、業者によっては純粋な意味での企業努力によって手数料無料化にこぎつけているケースもあり、ユーザーとしてはそうした良心的な業者と契約し、長期的なスパンで付き合っていきたいものです。

不動産業者における企業努力としてはまず、徹底したコストカットが挙げられます。無駄なコストを省き、利潤を確保しやすいビジネスモデルを確立している業者は、たとえ仲介手数料を無料にしたとしても大きな損失にはつながらず、経営にひびくこともありません。

しかしながら、手数料収入はユーザーから見て多分にブラックボックス化されており、どれがまっとうな企業努力でどれがグレーゾーンの無料化であるかが非常にわかりにくいのが大きな悩みどころです。

ただ、契約前の面談の際に取引コストの内訳について業者から詳細な説明があるはずですので、その際の説明がどの程度ていねいか、こちらの疑問点を余すところなくカバーしてくれているかなど、いくつかの項目について冷静にチェックすることで業者の「ホワイト度」を見きわめることができ、グレーゾーンおよびブラックな業者を除外することにつながります。

ネットのクチコミも業者選びのうえで役に立ちますが、サイトによっては都合の良い意見ばかりを乗せていたり、ライターにギャランティを払って偏った情報だけを書くように依頼していたりするところがありますので、ウェブサイト上でポジティブな情報もネガティブな情報もきちんとバランスよく掲載している業者に的を絞るようにしましょう。

 

交渉次第で安くなることもある!?

仲介手数料無料ではなくても、交渉次第ではその金額をある程度割り引いてもらえる可能性があります。

仲介手数料は通常、物件の売買契約締結時に半額、実際に取引が完了した時点で全額を納付する慣例となっています。

不動産業者としては売買契約締結時から手数料を全額請求する権利をもっているのですが、物件取引には非常に高額のコストがかかることと、手数料をすべて受け取った時点で業者側が一切の責務を放棄してしまう、というトラブルが相次いだことから、行政指導によって半額ずつ2回に分けて請求するように勧告が出されているのです。ただし、これはあくまでも推奨レベルであって、実際には契約締結時に手数料の全額納付をもとめる業者も少なくありません。

仲介手数料は契約締結の時点で産出されるため、割引交渉は絶対に契約前に行いましょう。もっとも、手数料は業者にとって貴重な収入源であるため、できるかぎり値引きをしたくないという事情も考慮しておくべきです。したがって、業者のほうから手数料の値引きを提案することなどほぼ皆無ですし、こちらからそれとなく打診したとしても何らかの理由をつけて断られることも少なくありません。

ただ、高額物件の取引の場合は手数料そのもののボリュームが増えるため、ある程度までは割引に応じてくれることもあり得ます。また、業者との信頼関係によっても交渉のしやすさが変わってくるため、できることならひとつの業者と長いスパンで交流しておいたほうがいろいろとメリットを受けられます。

手数料値引きによる販促活動への影響が心配になるかもしれませんが、良心的な業者であればその程度のことで顧客への態度を変えることはまずありえません。ただし、不動産業者も人間ですからその時々の感情に流される、ということは考えられます。

 

まとめ

東京以外で仲介手数料が無料の不動産業者を探すのは、意外と難しいかもしれません。ただし、交渉のタイミング次第では手数料を値引きしてもらえる可能性は充分にあるため、日頃から不動産業者と懇意にしておき、何でも相談しやすい関係性を築いておきましょう。