不動産契約の際に欠かせない費用である、仲介手数料。
物件によっては、数百万円かかることもあり、なるべく安く抑えたいというのが本音ではないでしょうか。
仲介手数料無料サービスを行う不動産会社は多くありますが、仲介手数料無料であるからこそ発生するトラブルもあります。
今回は、仲介手数料無料になることで起こりうるトラブルについて、そして、トラブルに巻き込まれないように対処しておくべきことについて、ご紹介します。
目次
仲介手数料無料は本当にお得?
不動産契約において、時々見かける「仲介手数料無料」というワード。初期費用は安くなるに越したことはありませんが、本当に大丈夫なのでしょうか?
「仲介手数料が無料だったら、契約に手を抜かれるのでは」「なにか裏があるのでは…」という不安のある方も多いのではないかと思います。
ここで、仲介手数料無料サービスを受けることによって発生し得るトラブルをご紹介する前に、仲介手数料無料であることのメリット・デメリットについて見ていきます。
仲介手数料無料のメリット
初期費用を安く抑えることができる
仲介手数料無料の最大のメリットは、やはり初期費用を安く抑えられることでしょう。
不動産契約で発生する手数料には上限が決まっています。
賃貸契約である場合は、「家賃1ヶ月分+税」。
売買契約だと、物件価格(税抜)が400万円を超える場合は「物件価格(税抜)×3%+6万円+税」、200万円〜400万円の場合は「物件価格(税抜)×4%+2万円+税」、200万円以下の場合は「物件価格(税抜)×5%+税」です。
例えば、3500万円の物件を購入した場合には、111万円(+税)の仲介手数料が必要になる、ということになります。
仲介手数料無料の不動産会社で契約を行うことで、数百万円の初期費用をカットすることが可能です。
このお金で新しい家具の購入や、リフォームなどを行えるところが、仲介手数料無料サービスのなによりのメリットだと言えるでしょう。
仲介手数料無料のデメリット
トラブルに巻き込まれることがある
仲介手数料無料になる物件は、賃貸の場合は貸主が全額負担し、売買の場合は売主が不動産会社であるパターンがほとんどです。
しっかりした不動産会社であれば、メリットが多く、ほぼデメリットになることはありません。
しかし、世の中には悪い不動産会社が存在しているのも事実。仲介手数料無料であることでトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
全ての物件が仲介手数料無料とは限らない
前述した通り、仲介手数料が無料となるのは貸主が全額負担しているケースや、売主が不動産会社であり仲介手数料を全額売主から受領できるというケースが大半を占めています。
つまり、仲介手数料無料となるのはそのような背景のある物件が多く、仲介手数料無料にこだわりすぎると、限られた物件の中から住まいを探すことになります。
自身の気に入った物件が仲介手数料無料になるか否かを調べてくれる不動産会社もありますが、依頼をする場合は必ずしも仲介手数料が無料になるわけではないことを頭に入れておきましょう。
ただし、仲介手数料が無料とならない場合でも、仲介手数料減額の交渉を不動産会社に持ちかけることはもちろん可能です。
しかし、不動産会社の主な収入源は仲介手数料であるため、無理な交渉をすることでトラブルに巻き込まれることもあります。
例えば、「仲介手数料を全額支払うから契約したい」という借主・買主が他に現れた場合、不動産会社がそちらの顧客を優先するという可能性です。
このように、仲介手数料無料にこだわりすぎていると、限られた物件の中で住まいを探すことになったり、気に入った物件を逃してしまったりと、返って損をしてしまうことにも。
ここからは、具体的なトラブルと、そのトラブルを防ぐための対処法についてご紹介していきます。
ケース1:別費用として請求される
仲介手数料無料であることで起こりうるトラブルとして、契約書作成費用や住宅ローン代行という名目で、別費用として請求されることがあげられます。
なかには、仲介手数料無料と謳っているにも関わらず、数十万円の費用がプラスで加算されているというケースもあります。
契約書作成や住宅ローン代行など、不動産契約に関する各種手続きの代行費用は、本来仲介手数料に含まれるサービスです。
仲介手数料無料であるのにも関わらず別費用として請求されることは通常あり得ませんので、そのような請求があった場合には注意が必要です。
トラブルを防ぐためには
仲介手数料無料に関するルールを事前にしっかりと確認しておくことが重要です。また、契約書に「仲介手数料が無料である」旨の記載があるかも確かめておきましょう。
契約書作成や住宅ローン代行という名目以外でも、仲介手数料以外の別費用での請求がある際には担当者に確認し、「なぜこの請求が発生するのか」の説明を必ず事前にしてもらいましょう。
また、別費用での請求が発生する場合は、口頭ではなく、書面での契約を交すようにします。きちんと書面で残しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
明らかに仲介手数料に含まれるようなサービスであるにも関わらず、その項目の請求費用がなくならない場合には、国民生活センターの消費者ホットラインや、法テラスなどに相談するのも良いかもしれません。
参考:
- 国民生活センター 消費者ホットライン
- 日本司法支援センター 法テラス
https://www.houterasu.or.jp/index.html
ケース2:サービスの質が悪くなる
住宅ローン審査や司法書士などの連携をしてもらえないなどといった、サービスの質が悪くなる可能性もあります。
仲介手数料は、仲介業務において発生する各種サービス料ですので、その費用が無料ということで、契約や引き渡しなどの必要最低限の仲介業務しか行わないなど、サービスの質を落とされることも考えられます。
トラブルを防ぐためには
契約を結ぶ前に、どこまでのサービスを不動産会社が担当してくれるのかをきちんと確かめておくことが重要です。
各種手続きなどのサービスを行なってもらえないなど、明らかにサービスの質が悪い不動産会社である場合は、仲介手数料無料であっても契約を避けるべきです。
世の中には、仲介手数料無料サービスを行いつつも質のいいサービスを提供している不動産会社は多数存在しますので、他の不動産会社を探しましょう。
ケース3:価格交渉ができない
仲介手数料無料サービスは、売主が不動産会社である場合もありますが、貸主や売主など、どちらかに仲介手数料を全額もらっているから成立している場合が多いです。
そのため、契約に関する価格交渉の際には、不動産会社は仲介手数料をもらっている貸主・借主側に優位な考え方をする可能性があり、価格交渉を全くしてもらえない場合もあります。
「仲介手数料無料だから、初期費用を安く抑えることができる」と思い、その不動産会社を選んだにも関わらず、仲介手数料を支払って、物件価格を値引きしてもらったほうが安く済んだ…という最悪のケースも考えられます。
トラブルを防ぐためには
価格交渉を行なってくれるのかどうかをしっかり確かめることが重要です。
また、気になる物件があった場合には、「その物件を契約する際にはいくらの仲介手数料がかかるのか」を事前に調べておきましょう。
仲介手数料を調べた上で、仲介手数料無料サービスを受けたらどれほどのお金が得になるのか。また、価格交渉でどれほどのお金を値引きしてもらったら、仲介手数料無料サービスを受けるよりもメリットが多いのか。これらをしっかりと理解した上で、不動産会社と契約を結ぶようにしましょう。
仲介手数料無料である上に価格交渉を行なってくれる場合は最も良いケースですが、そうではない場合、仲介手数料無料という目先の利益だけに注目するのではなく、全体的な利益を考えて、不動産会社を選択しましょう。
まとめ
仲介手数料無料であることによって発生するトラブルは以下の通りです。
- 契約書作成費用や、住宅ローン代行など、別費用として請求される可能性がある
- 必要最低限の仲介業務しか行わず、サービスの質を落とされる場合がある
- 価格交渉を行なってもらえず、トータルの金額で損をすることがある
仲介手数料無料サービスに魅力を感じて、その不動産会社を選んだにも関わらず、結果的にデメリットが多いようでは、元も子もありません。
そうならないためにも、不動産契約を行う際には、事前にしっかりと知識を身につけておくことが重要です。トラブルを避けて、理想的な不動産契約を行いましょう。