不動産売買で聞く、利益相反とは?

例えば企業の取締役が、その企業の所有している不動産を個人資産などで購入した場合には、利益相反にあたるかどうかが、問題の焦点となります。例え企業売買など専門的知識が無くても、このようなケースはしばしばあるような気がします。予め、良し悪しなどを調べておくことで、不要なトラブルを避けることにつながります。ここでは不動産売買に絞って、ご紹介します。

利益相反とは何か

会社法356条では利益相反行為という条項を設けています。そこには「取締役会設置会社においては、第356条第1項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。」と述べられています。これは、ある人が自分や第三者の利益のために、他者へ迷惑をかける行為を指します。学問や医療業界で耳にすることが多い言葉です。

例えば、ある大学の教授が兼業である予備校の臨時講師をしていたとします。しかし、その教授が兼業を優先し、大学の講義を休講することが多くなってしまいました。当然、大学側も学生も、その教授の行為によって、不利益を被ることになります。そして、これは利益相反行為に当たる可能性があります。では、不動産売買の利益相反とは何を指すのか、具体例とともに見ていくことにしましょう。A社の取締役BさんがA社が所有する土地を自分のために購入し、そこに家を建てて家族で住みたいと言い出しました。Bさんは「私は代表取締役なのだから、何の問題もない。」と言っています。しかし、Bさんは取締役会で自分以外の人たちの承認を受けなければ、A社の土地を購入することはできません。なぜかと言えば、その行為が利益相反にあたるかどうかをしっかりと確認しておく必要があるからです。

そして、取締役会で否決されれば、当然のことながらBさんは土地を購入することは出来ません。取締役が置かれていない会社の場合は、株主総会を開いて、株主の承認を得る必要があります。そのほかにも、同族会社同士の不動産売買も、利益相反行為に抵触する可能性があります。企業の顔である以上、その企業の不利益になるような行為をしてはいけないというのは当然のことです。しかし、会社法を知らなければ知らず知らずのうちに、利益相反行為を行ってしまう可能性もあるということです。

利益相反によって起こる影響

では、この行為によってどのような影響が起こるのでしょうか。当然のことながら自分や第三者が利益を享受すれば、一方は不利益を被ることになります。不動産売買の場合は、特に「両手」と呼ばれる行為が利益相反にあたると言われています。両手とは、不動産会社が売主と買主の双方から仲介手数料をもらうことを指します。つまり、高く売りたい売主と、安く買いたい買主の間に立って仲介をするわけですから、どちらか一方の側に有利になれば、もう一方は不利益を被るからです。

本来であれば中立な立場でなくてはいけませんが、売買を成立させるためにはどうしてもどちらか一方寄りになってしまう可能性は高いでしょう。そして、多くの不動産会社は売主側に立つのではないでしょうか。というのは、何といっても売却を依頼してくれたお客さんですし、もしその人が他の会社にも売却をお願いしていたら、早く買主を見つけなくては他社に大事なお客さんを取られてしまうからです。そうなれば、両手は期待できません。もちろん買主も大切なお客さんであることには変わりありません。しかし、その買主でなくても他にも買主は現れますが、売却を依頼してくれた売主は買主ほど簡単には見つかりません。そこで、どうしても売主側に立ってしまいがちになると思われます。

両手は別に違法ではありませんし、売買が無事に成立すれば売主も買主も喜んでくれるわけですから、第三者が文句を言う筋合いはありません。ただ、買主からすれば、両手欲しさに不動産会社が売主寄りになってしまうと、値引き交渉に応じてもらえない、強気の営業に出られてしまってその結果言い値で購入してしまうなどの不利益を被る可能性があります。

利益相反しないためにどういう対策が必要なのか

利益相反をしないためには、私たちはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。対策の一つとして考えられるのは、売主がその物件の所有者である新築住宅を購入することです。売り主から直接物件を購入するため、間に仲介業者を介す必要がないので、仲介手数料は発生しません。よって、仲介手数料無料と言うことになります。中古物件よりも新築物件の方が人気が高いのは、このような理由もあるからかもしれません。しかし、新築ではなく中古の方が欲しいという方もたくさんいます。

一概には言えませんが、中古住宅の方が駅から近い場合が多いからです。もちろん価格も新築住宅より割安ですし、中古であってもリフォームすれば新築同様にきれいにできます。では、中古住宅を買う場合にどのような点に気を付ければよいのでしょうか。これといった良い方法が見つからないのが現状ですが、少しでも怪しいと思ったら、専門家に相談することが最善の策ではないでしょうか。行政にも不動産取引について相談できる部署がありますから、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。企業における利益相反を防ぐには、特に専門家のアドバイスが参考になります。また、取締役会や株主総会で承認されなければ取締役や代表といえども好き勝手には出来ないのですから、その他の人が団結して反対する姿勢も大切になってくるでしょう。

なお、周囲に不動産取引に詳しい人がいれば、ベストです。疑問点や現状の説明、その後の対処法を含め、詳しく相談されると良いでしょう。しかし、利益相反行為はグレーゾーンが多く、もし裁判に持ち込んだとしても、必ず勝てるという保証がありません。もっと法律による規制があっても良いのではないかと考えています。

まとめ

今回は利益相反という難しい言葉について見てきました。私たちは売買をする際はどうしても「仲介手数料無料」というワードに飛びつきたくなります。それは、少しでも安く売買したいわけですから、当然のこと。ですが今回見てきた利益相反などのワードにも注目して、不動産売買を円滑に行いたいですね。不動産業界についてもっと詳しく知りたい方は、ネットの情報などを検索してみてください。