東京の不動産が高騰しているのは何故?

  • 記事公開日:2018/05/16
  • 最終更新日:2021/09/01

東京の地価が世界的に見ても、とても高いことは有名です。
2017年、最も地価の高い場所とされたのは、銀座2丁目の明治屋銀座ビルの土地で、1平米あたり3890万円と発表されました。
日本国内の平均地価が5万円程度、東京の平均が30万円弱であることを考えると相当、高い額なのがわかるでしょう。

東京と言っても、奥多摩や島嶼部もあるので、平均にしてしまうと低くなってしまいますが、市街地、とりわけ23区内の土地単価は高騰し続けています。
地価の平均変動率は5年連続で上昇しているのです。住宅やマンションなどの価格も、その影響を大きく受けています。

 

東京の不動産が高騰している理由

どうして、そこまで東京の不動産が高騰しているのでしょうか。
その原因は、2020年に開催されるオリンピックにあると言われています。

1964年のオリンピック以来、64年ぶりの日本での夏季オリンピック。
遅れに遅れていた、開会式で使用される新国立競技場の着工もようやく始まり、急ピッチで建設が進んでいます。
その他の会場整備も着々と行われており、マスコットやロゴの選定なども終わって、すでに静かな盛り上がりを見せています。
そんな中、このオリンピックの経済効果はとても大きいものになると国内外から予想されており、すでにオリンピック関連の銘柄には投資家の目が集まっています。
なにしろ、多くの外国人選手やそれを観戦したい客がオリンピックのためにこの町を訪れ、ついでに、と都内の観光スポットを巡れば、多くのお金が動きます。

お金が動けば、景気も浮揚すると見られており、好況になれば、株や不動産への投資も増えます。
労働需要も生まれて、賃金の安い外国人労働者も集まるでしょう。
そうした状況を期待している外国人投資家は、東京に対して熱い視線を注いでいるのです。
今から不動産を買っておけば、オリンピックの行われる年には、その好況を受けて、確実に土地は値上がりすると見られているのです。
今のうちから買っておけば、間違いなく2020年にはその数倍の価値を持っているに違いない。そんな期待から多くの外国人が不動産を買い求めているのです。
そのためにオリンピックを待たずして、すでに土地の価格が高騰し始めています。

その証左とも言えるのが、2012年のオリンピック招致決定時の地価の変動です。震災からの復興を掲げてオリンピック招致を勝ち取ったその年を境に、東京全体の、特に選手村に近い、勝どきや豊洲といった湾岸地域の地価高騰が顕著になっているのです。

円への信頼性の高さや治安のよさ、日本の独自文化への関心の高さなどから、もともと外国人投資家から一定の人気があった国内の不動産に、さらに注目が集まっているというところでしょうか。

それに拍車をかけているのが、日銀の金融緩和やネットの発達によって増加した、国内の個人投資家です。さらにアベノミクスによる景気浮揚も一因にあると言われています。

 

2020年まで続く?

不動産価格の高騰の原因がオリンピックにあるのだとすれば、それは2020年をピークとして下落していくのでしょうか。
そうなれば、誰にでも買い求めやすい価格にはなりますが、それで景気が冷え込んでしまっては元も子もありません。
上がるか、下がるか、それについては様々な意見が出ており、一概にこうとは言えないようです。

もし、投資目的で不動産を買っている人たちが多くいるのだとすれば、2020年のオリンピック開催前がその価格のピークとなるでしょう。
ピークを越えて、価値が下がってしまったら、投資の意味がなくなってしまいますから、投資家は売却のタイミングを見計らって、売りに出すでしょう。

それとは別に2022年には生産緑地法が期限を迎えます。
生産緑地法とは都市の環境を守るために、農地等の緑地帯を、所有者は売却・宅地化しないで生産緑地として管理しなくてはならないとする法律です。
土地に手を加えてはいけないなどの制限がある一方で、相続税や固定資産税の面でメリットも大きいのが特徴です。
生産緑地法に則り1992年に始まった生産緑地ですが、30年が経過すると所有者は生産緑地を市町村に対して買い取りを申し出ることができるよう、生産緑地法に定められています。
始まった年から、その法律で定められた30年の年限が到来する2022年。8割方の生産緑地が、この2022年に年限を迎えると言われていますが、税金を払えなくなった所有者がその土地を売却に出し、その後、宅地として転用されることが予想されています。
この調整緑地が最も多いのが東京です。これにより都内の宅地供給が過多になると、不動産価格は全体的に下落傾向に転ずるのではないかとされています。

オリンピックの終了に加え、生産緑地法の期限。このことから、不動産が値下がりすると警告する専門家がいるのは確かです。

一方でこうした懸念は、過剰な不安をあおるものだとする声もあります。
実際、東京の土地高騰化はオリンピックだけが原因ではありません。他に原因とされている人口の増加についてですが、今後もますます人口集中、一極化は進むと専門家は見ています。全国的に見て、少子化など人口減少の傾向にある日本ですが、それだけに都市部への一極集中は強くなるというのです。

オリンピックの開催で、東京という都市の魅力が発信されれば、外国人移住者の増加も見込まれます。
それとともに観光需要も増えれば、宿泊施設やレジャー施設の建設などに関連づけて、土地の需要も高まります。
そうなってくるとこの町の土地はますます高騰するかもしれないというのです。
実際はどうなるのか、その時になってみないとわからないというのが、実情かもしれません。

 

マンション市場では新築よりも中古の方が良い

このように東京の不動産事情は、大きく変動している最中です。それゆえにマンションの購入になかなか踏みきれない、という方も多いのではないでしょうか。

オリンピックの景気を見越して、多くの投資家が売買目的にマンションを所有しているのだとすれば、オリンピック後に多くマンションが売りに出されることも予想されます。
ピークを越えて、それらの供給が過多になれば、大幅な値崩れもあるかもしれません。

とは言え、2020年まで待っていられないという人も多くいるでしょう。
土地やマンションの価格が高騰する東京、やはり購入するなら新築よりも中古の方がよいと言えるでしょう。
実際、新築の物件自体、かなり減少しているので、その選択幅は少なくなっています。

その点、中古マンションならば、物件も多く、希望のエリアの中から探しやすくなっています。
それらの中には、バブル時に投資目的で企業の購入したマンションが、不況の長引く中、売りに出されたものも多くあります。
建築需要が低い、それゆえに建築コストが今よりもずっと低かった時期に建てられたものですので、それらのマンションは、価格帯が安いにも関わらず、物件のクオリティは高いという、良質のマンションであることが多いのです。
当然、中古ですので10年もの、20年ものの相応の年月が経過しているものもありますが、室内はリフォームされて、新型のシステムキッチンや流行りの内装になっています。
耐震性に関しても、新築より低いのではないかと不安に思われる方も多いでしょう。ですが、全国で相次ぐ震災被害に鑑み、万が一の時のため、補強工事もしっかりとなされているマンションも多いでしょう。そのあたりは、購入の際に確認したほうがしっかりとよさそうです。
下見ができるという点もまたよいところ。新築マンションの場合ですと、モデルルームなどで確認するしかありませんが、実際の部屋に行ってみるのとは大きく違います。
騒音や温度、風景など、やはり実際の部屋で実感できたほうが、購入時の安心感はまったく違うと言います。

ただし、やはり中古マンションには、人気の物件というものがあるようです。同じタイプの部屋がいくつもあり、マンションの立地や間取りなど、気に入れば、空き状況に応じて購入できる新築の分譲マンションと違い、中古マンションの場合は気に入っても、その一戸しかない、オンリーワンともいえる存在なので、他のお客さんに先に買われてしまったら、それでおしまいです。

また中古マンションの場合は、既存の管理組合などがあり、困った時などは古い住民の方の助けも期待できます。
ですが、そういうご近所づきあいが苦手だという人には少しおすすめできないかもしれません。

 

まとめ

マンションを購入するのは、一生に1度、あるかないかの買い物という人も多いことでしょう。
そうでなくても、10年に1度、20年に1度の大きな買い物です。
たくさん物件を見て、その中からゆっくり吟味して選ぶ人もいれば、1つの物件に一目惚れをして、その場で即断する人もいるかもしれません。
不動産の高騰する今だからこそ、マンションを購入する際は、メリットだけではなく、デメリットも踏まえたうえで、中古と新築、どちらがいいか慎重に検討したいものです。